今回の能登半島地震では、海底の地盤が隆起し、海だった場所が「砂浜」になってしまった場所も。地元の漁業関係者は頭を抱えています。
■海底隆起“砂浜”が出現
海岸に地震の爪痕が残ります。石川県輪島市の「鹿磯漁港」。震度6強の揺れは地形を一変させました。
地震が起きる前の港。海に沈んでいた地盤が盛り上がり、黒い地面がむき出しになっています。近くで確認すると、水位が下がって海底が見える状態になっています。
変わり果てた漁港。東京大学地震研究所などの調査で、鹿磯漁港では、およそ3.9メートル隆起していたことが分かりました。
■「終わった」漁港に衝撃走る
5月から12月にかけてイカ漁が盛んだったという港。
地元漁協の人
「たぶん4メートルくらいは(水位が)下がっている。もう終わったなと…。(港の)機能が全くない。これだけ上がって(隆起)してしまうと、船が全く入ってこられない」
■海岸隆起で“砂浜”が出現
海岸沿いにはさらなる異変が。隆起によって砂浜が巨大化していたのです。元々、波消しブロックの位置の向こうは海です。今は、ブロックは波打ち際のはるか手前に。砂浜は大きく広がったことが分かります。
■海岸線4kmで3m↑の変化
漁港の周辺では、どれほどの範囲で隆起が起きたのでしょうか。
地震が起こる前の衛星写真です。海岸線に注目すると、海側に大きく前進。海だった場所が陸地に変わっています。海岸線沿いおよそ4キロにわたり、複数の地点で3メートルを超える隆起が確認されました。
輪島市内の近くの漁港も、港のほとんどが隆起。海の水は見えなくなりました。
さらに、輪島市から南におよそ15キロ離れた志賀町でも、沿岸では25センチほど地面が盛り上がったといいます。
地元漁師
「ここで25センチの隆起というが、30から35センチ隆起しているのではないか。海底が浅くなっているから、どんな影響があるのか出てみないと分からない」
国土地理院の解析では、沿岸部の海底がおよそ90キロにわたって隆起。皆月湾では、最大でおよそ200メートル、海が陸になりました。
■なぜ?カギは「逆断層運動」
隆起はどうして起きたのでしょうか。専門家は「逆断層運動」の影響だと指摘します。
金沢大学 平松良浩教授
「日本海側の海底にある断層は逆断層。断層が能登半島の下に斜めに入っている」
能登半島の地震に詳しい平松教授によると、沿岸には活断層が続いていて、その断層群は海側の断層が陸側の断層の下に斜めに入っていく「逆断層運動」と呼ばれる動き方をしています。
金沢大学 平松良浩教授
「ここは地震が起こると基本的に隆起する。それが積み重なって、能登半島の地形ができ上がっている」
■4000年分の変化 一気に
ただ、今回のマグニチュード7.6は、想定のなかでも最悪レベル。輪島市では、最大4メートルも隆起しました。平均的な隆起の速度は1年に1ミリ程度とされており、単純計算で4000年分の隆起が一気に起きたことになります。
この隆起が阻むのは、被災地への「支援」です。2007年の能登半島地震の時は、港が物資搬入のルートになっていました。それが使えず…。
金沢大学 平松良浩教授
「東日本大震災の時のように国が主体的に取り組んで、住民の方の生活基盤を回復していく事業を長期的に取り組んでいく必要がある」
石川県内の死者数は213人。37人の安否が分かっていません。
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