能登半島地震による石川県の死者は94人となり、安否不明の人は222人に上っています。現地では土砂崩れで道がふさがれ、事実上の孤立状態になっている場所もまだ複数残っています。
■「返事してくれ!」母への叫び
母の捜索を見つめる男性の姿がありました。
母親が安否不明 林淳彦さん(62)
「返事してくれって大声で何度も叫びました。返事がない、返答ない」
石川県穴水町。家屋の倒壊で10時間以上すぎたのちに救出された林さん。ただ、母の安否は分かっていませんでした。
母親が安否不明 林淳彦さん
「警察に何度も頼みに行って『早く来てくれ』って。家族としては早く助けてもらいたい。それだけです」
その後、母の死亡が確認されました。今回の地震による死者は94人に。安否不明の人は222人に上っています。
■土砂崩れで道寸断…“孤立”今も
給水に来た人
「お水なかったら何もできなくて。ありがとうございます」
各地から支援物資や医療チームが被災地へ向かっています。ただ、現地の交通インフラは壊滅的です。至る所で道路が陥没。車もはまっています。輪島市を走る国道でした。反対側から見た道。人も歩くのがやっとの状況です。以前は、なだらかな道が続く何の変哲もない道でした。
この道の先にある世界農業遺産にも選ばれた棚田も地震の影響で一部崩れています。人力に頼らざるを得ない状況です。
自衛隊員
「この物資を、とりあえず山越えする」
孤立集落もあり、手渡しや徒歩で物資を運ぶしか術はありません。
孤立した集落で旅館を営んでいる女性は…。
市内で旅館を営む女性
「宿泊された方がいるが、その方も残っているし、近所の人も避難してこられている」
■パンク車 乗り捨て「何十カ所も」
小さな段差もあり、パンクする車も多いそうです。
石川県 馳浩知事
「心配して行かれる方、パンクして車をそのまま乗り捨てて、そこがボトルネックになってさらに行けない。これが何十カ所もある」
■「マンパワー不足」物資配送に壁
七尾市役所に全国から集まった支援物資。水や食料以外にも必要なものはあります。
女性
「ブルーシートもらったので、家のガラス割れたので直そうかと」
「家のガラスが全部割れちゃって。ちょっとでも(ブルーシート)はろうかと」
道路の寸断以外にも支援が行き届かない理由がありました。
七尾市役所 市民生活部 防災交通課 磯部孝志課長
「今まだボランティアセンターが立ち上がっていない関係で、避難所に行った時に(物資を)降ろす人員も必要になる。マンパワー不足は生じているかなと」
■「山が崩落」あちこちで道寸断
道路の寸断の全容が分かってきました。東大の教授が地震後の3D航空写真を公開。各地で土砂崩れが起き、道をふさいでいる状況が分かります。
東京大学大学院 渡邉英徳教授
「物資を運んだりするための道がそもそもここで切れている。山全体が崩壊して、道路が谷底に落ちている」
各地で起きる土砂崩れとともに今回の地震の特徴も見えてきました。
東京大学大学院 渡邉英徳教授
「実は、今回の地震で能登半島、かなりの場所が隆起している。4メートルくらい隆起したところは、掘ることができない」
以前の港を映した地図。地震後の航空写真と比べると、海底が隆起しているのが見てとれます。
東京大学大学院 渡邉英徳教授
「船が使えない状態なので、生活再建が非常に厳しい状況。港をもう一度、造り直すというのは膨大な金が必要。今後の復興が非常に大変な道のりになる」
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