年末になっても止まらないクマの目撃情報。異例の事態が続く今年、専門家は帰省の際にも警戒するように呼び掛けています。
■柿の木に3本“生々しい爪痕”
年末年始の休みに入っても自治体はクマ対策に追われています。福井県鯖江市の住宅地。28日、クマらしき動物が目撃されました。クマよけの鈴を付けて市役所の職員が29日、住宅地の調査へ。
鯖江市 鳥獣害センター 杉本佳則さん
「(Q.何を確認しに行く?)柿の木のクマの痕跡。爪痕があるかないかを確認する」
住宅のすぐ裏にある山林には…。
鯖江市 鳥獣害センター 杉本佳則さん
「これですね3本。爪でガッとめくれている」
柿の木にはクマの生々しい爪痕が残っています。
鯖江市 鳥獣害センター 杉本佳則さん
「これらも登った後」
柿の実を狙い、クマが住宅の敷地に侵入したとみられます。
鯖江市は急きょ、対策に乗り出しました。
鯖江市 鳥獣害センター 杉本佳則さん
「きのう、この爪痕を確認してカメラを設置している。夜間などにここに出没したらメールで送られてくるので(クマが)出ていないか確認のために設置した。通常だと冬眠している時期だが、まだ出てきている状況で今も警戒している」
■「恐怖感ある」 雪の上に足跡か
年越しを迎える住民からは不安の声が…。
近隣住民
「すごく恐怖を感じる。実際クマに襲われてけがした人が福井県内にいるので、遭遇したらどうしようかと恐怖感はある」
住宅が密集するエリアのすぐ近くでは、クマの足跡も見つかっています。足跡は人間の手のひらほどの大きさです。市の職員はクマの成獣の足跡と推測しています。
■「子グマじゃない」足跡くっきり
近隣住民
「子グマではない成獣、若いかもしれないが(足跡は)結構、大きいので、広報車で『気を付けて』と回っている」
「(Q.山から住宅地に下りてきた?)この後どこに行ったかは分からない」
足跡を見た住民は…。
近隣住民
「ここに住んでいて初めてだから、びっくりしている。ましてやこんな時期だから」
■「まだエサがある」冬眠遅れ
なぜ冬眠の時期になっても眠らずに、市街地での出没が相次いでいるのでしょうか。専門家の分析は…。
石川県立大学 大井徹特任教授
「暖冬傾向にあることと合わせて柿の実の取り残し、狩猟、駆除の対象になったシカ、イノシシの死体が山林に放置されている、クマが利用できる餌(えさ)がまだあることがクマの冬眠を遅らせている原因と考えられる」
■帰省も警戒!「夜の外出控えて」
年末年始も各地でクマへの警戒が続いています。石川県白山市の神社には「クマ出没注意」の張り紙が至る所に。表参道沿いの住宅に先月、クマが出没。
白山比め神社 田中天善さん
「特に12月には白山市で被害があったということで、まだまだクマが出るなと不安がある。気を引き締めながら初詣を迎えたい」
クマよけの対策として、日本に古くから伝わる音楽「雅楽」を境内に流しています。
参拝者
「(自宅の)近くには出てないので実感はなかったが、ここの周辺や北陸ではクマが結構出ているので心配」
専門家は、年末年始の帰省の際はクマに警戒するように呼び掛けています。
石川県立大学 大井徹特任教授
「帰省あるいは旅行先でクマの出没があるような所に行く人もいるかもしれない。自治体でクマの出没情報を出しているので、そういった情報に注意して情報がある場合には夜間の外出を控える。クマに出会ったら走って逃げない。襲われた場合には首、顔、頭など急所になる部分を守る。大けがをしないための行動を取ることを忘れないでほしい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp