年の瀬というのにクマの目撃情報が止まりません。仙台市では27日、26日と2日連続でクマが目撃されました。富山県では雪の上を走るクマの姿も。異例の事態に自治体が対策に乗り出しています。
■2日連続でクマ目撃 住民「異常」平年の4倍
真夜中の雪道を疾走する黒い物体。ツキノワグマです。富山県氷見市で今月23日に撮影されました。
クマを目撃した人
「新聞配達の途中にクマが道路の真ん中にいた。まさかこんなに雪が降ってこんな時期にクマが出るとは思ってもいなかった。歩いている最中や車から降りてる時は怖い」
年の瀬も押し迫るなか、クマの出没が全国各地で相次いでいます。
仙台市の住宅地で27日午前7時50分ごろ、体長1メートル以上のクマ1頭が目撃されました。
近隣住民
「もう12月でしょ。だから異常、だから怖い」
仙台市では12月の目撃が今年は19件。去年までの5年平均は5件ほどで、およそ4倍に増えています。
近隣住民
「餌(えさ)がないのよ」
「じゃあ餌あげればいいじゃん」
「餌あげたらどんどん出てきちゃうから」
■1月からも「注意報」“今までなかった”
宮城県内では12月の目撃件数が65件と過去最多。今年は異例の事態です。宮城県は、県内全域に出している「クマ出没警報」を1月から「注意報」に切り替えて、引き続きクマに対する注意を呼び掛けています。
宮城県 自然保護課 大山慶一郎さん
「1月に注意喚起することは今までなかったと思うが、初詣やご来光を見に年末年始も移動する人が多いので、冬ごもりをするからと油断しないで、引き続き注意をしてほしいので注意報を出している」
■北海道 過去最多の出没件数
秋田県でも異例の事態です。「ツキノワグマ出没警報」を1月末まで延長しました。警報が1月まで続くのは初めてのことです。
北海道では、市街地に出没する「アーバン・ベア」の対策が喫緊の課題です。
札幌市 熊対策調整担当 坂田一人課長
「昨年は大みそかに出没していたということもあり、しっかりと対応できるような体制は整えていきたい」
■“4つのゾーン”にすみ分けを
年の瀬の28日、札幌市が初めて開催したのは「ヒグマ基本計画推進協議会」です。クマの専門家や教育関係者などが参加し、今後の対策に向け協議されました。
酪農学園大学 佐藤喜和教授
「特定の親子、単独の若い個体が繰り返し目撃されていて、人慣れによる無警戒があっただろう」
札幌市では今年、市街地の近くで親子グマなどの目撃が相次ぎました。
坂田課長
「できる限り市街地のほうにヒグマを寄せ付けないようにするためには、うまく住み分けをすることが大事。ゾーニング管理というなかで札幌市では4つのゾーンに分けている」
「人は街でヒグマは森で」札幌市が掲げるスローガンです。その鍵を握るのが「ゾーニング管理」。市内を4つのゾーンにエリア分けしています。「市街地ゾーン」「市街地周辺ゾーン」「都市近郊林ゾーン」「森林ゾーン」。クマが出没するゾーンによって対応を変えています。
坂田課長
「市街地であれば基本的には捕獲を前提に対策する。ヒグマが住んでいる森林ゾーンであれば特に駆除はしない。都市近郊林ゾーンで出没した場合には同じ森であっても市街地が近いので、少しヒグマにとってプレッシャーを与えるような対策を取る。例えば(クマが)出てきたところに緊急的に電気柵を設置する。場合によってはハンターに追い払いをしてもらう」
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