“クマ被害”が収束する気配がありません。
秋田県では、23日も68歳の男性が、顔やうでを引っかかれ、けがをしました。県内では、今年に入って53人がクマの被害にあっていて、その数は、最も多かった年の2.5倍に上ります。
先週、北秋田市内にある自宅近くのガレージでクマに襲われた湊屋啓二さん(66)。その傷は、顔に集中していました。
湊屋啓二さん:「特に執拗に攻めてくるのは、顔と頭だった。ゴオーって、クマ自身も興奮しているような声を発しながら、頭、顔に執拗にアタックしてきた」
北秋田市内の中心部では、高齢者などが立て続けに襲われています。
富山市でも23日、73歳の男性がクマに襲われ、けがをしました。現場は先週、70代の女性が亡くなった家からわずか2.5キロの場所でした。
秋の行楽シーズン、身近な場所でも注意が必要です。
東京・町田市では、18日午前8時ごろ、ハイキングコースとなっている境川の源流付近で、ツキノワグマが目撃されています。
ネイチャーファクトリー東京町田・笠倉秀貴所長:「日中、お昼にここでバーベキューするとか、引き続き、利用、いただいています。集団で活動されている分には、にぎやかなので大丈夫だと思うが、使った食材だったりをそのまま放置しないこと。覚えると来るようになるので」
さらに、一時は絶滅したと考えられていた伊豆半島でも、クマが見つかっています。
野生のツキノワグマの生態を調べるため、カメラのついた首輪をクマに取りつけました。食事の様子が見られました。
東京農工大学大学院・小池伸介教授:「同じ場所で同じ時期に生活する4頭でも、個体によって食生活が違う。全然、食べ物が違うことがわかってきたのが、一つの発見。クマたちは、いかに効率よく食べ物を得るかが彼らの食生活」
音への反応について実験した映像です。約60メートルの距離なら森のなかでも、鈴や笛の効果は絶大だといいます。
日本ツキノワグマ研究所・米田一彦理事長:「意外と効果があったのが、拡声器のヒューヒュー鳴るような音。広域のクマを追っ払う場合、非常に効果があるのかなと思う」
クマの生体を研究し、小学校で対策講習などを行う福島大学の望月翔太准教授に聞きました。
福島大学食農学類・望月翔太准教授:「遭遇した場合のポイントは“距離感”。割と遠くで出会った場合は、しっかりクマの方を見ながら、ゆっくり後ずさりして逃げてほしい。実は、クマってすごく目が悪い。10メートルぐらいの距離から、人間がいると判断するクマは少ない。ぼやっと見えている状態。まずは落ち着くこと。走って逃げてしまうと、何だろうと近付いてきてしまう」
一方、いま急増しているのが市街地での突然の遭遇です。
福島大学食農学類・望月翔太准教授:「近い距離で出合ってしまった場合、やるべきことはただ一つ“命を守る”。首から頭にかけては、頭の後ろを手で押さえる。そして、瞬時に地べたにうつぶせになる。クマは臆病なので、2回、3回と追撃して、人間を食べるということは基本はしない。1回のひっかきを何とか、 軽いけがで抑えることが大事」
望月准教授によりますと、市街地に出没するクマは『新世代のクマ』と呼ばれているそうです。
新世代のクマは、車や人の生活音に慣れていて、好奇心で人に寄ってしまうといいます。なぜ人に慣れてしまうのかというと、もともと山の中で生活していたクマが、エサ不足で人の生活圏に入り込み、人里に近い場所で冬眠する。この冬眠中に生まれたクマは、故郷が山ではなく、人里に近い場所になってしまうから人に慣れてしまうといいます。
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