裏金疑惑で4閣僚が相次いで辞表を提出しました。松野博一官房長官は最後の会見でも、「回答を差し控える」と繰り返しました。東京地検特捜部は近く、自民党安倍派側への強制捜査に乗り出す方針です。
■総務大臣 辞表提出後に一転
松野官房長官:「(Q.進退は決めたか?)記者会見でお話しします」
14日朝、自民党安倍派の4人の閣僚が岸田文雄総理大臣に辞表を提出。事実上、更迭されました。
辞表を提出 安倍派 西村康稔経済産業大臣:「国民の多くに疑念をもたれ、政治不信につながっている。けじめをつけなきゃいけない」
辞表を提出 安倍派 宮下一郎農水大臣:「志半ばという思いはありますけれども。こうした状況を踏まえて、辞めるべきだと」
辞表を提出 安倍派 鈴木淳司総務大臣:「私自身の問題ではなくて、とにかく清和(安倍派)としては、しっかりここは身を引いて、やっていかなきゃいけないなと思ってます」
派閥の信用回復を訴えた鈴木総務大臣。これまで「身の潔白」を主張していました。
鈴木総務大臣(1日):「(Q.超過分のキックバックを受けた?)私はありません」
キックバックはなかったと断言していた鈴木総務大臣ですが、辞表提出後、一転して認める、まさかの展開になりました。
鈴木総務大臣:「ほんのわずか(キックバックが)あるようでありますが、ただ私としては、そういうふうな意識でもらったわけではないし。実際、手にもしていないので、そんなことはありましたね」
■最後の会見も…松野氏「差し控える」
官房長官として最後の会見に臨んだ松野氏は、こわばった表情で、こう切り出しました。
辞表を提出 安倍派 松野官房長官:「私自身の政治資金収支報告書についても様々な指摘がなされているなか、国政に遅滞を生じさせないよう本日、内閣官房長官の職を辞したいと岸田総理に申し上げ、辞表を提出いたしました」
この日も、裏金疑惑の質問が相次ぎましたが、「お答えは差し控えさせていただきたい」と、お決まりのフレーズを連発。政府のスポークスマンは、自らの疑惑には最後まで何も語らず、官邸を去りました。
後任には、岸田派の林芳正前外務大臣を起用し、政権の立て直しを図ります。
林新官房長官:「まさに青天のへきれきであったわけでございますが。この持てる力を発揮して誠心誠意努力していきたい」
林官房長官を含む、4つの閣僚ポストには、いずれも安倍派以外の閣僚経験者を配置しました。
辞表を提出 安倍派 宮澤博行防衛副大臣:「『しゃべるな』『しゃべるな』と、これですよ」
13日、裏金を巡る派閥の指示を暴露した、宮澤防衛副大臣ら、安倍派の5人の副大臣も全員が辞表を提出しました。
“安倍派はずし”の今回の人事。岸田総理は、「調整力・実行力・答弁力などを備えた、即戦力を選ばなければならない。こうした考えに基づいて人事を行った」と述べました。
■“ライバル不在” 政権維持は不可能ではない
裏金問題で窮地に立つ岸田政権。政権運営の行方を、政治ジャーナリストの後藤謙次さんに聞きました。
後藤さん:「今のところ2つの要素で、しばらく岸田さんは頑張るんじゃないかなと。1つは、政権の行方を左右するようなビッグイベントが当面ないと。もう1つは、岸田総理に『我こそは!』と取って代わるような、群像が見えてこない。この2つによって、持ち前の粘り腰を発揮するんじゃないかなと。それが日本にとっていいことなのか、政治にとって悪いことなのかどうかは別にして、岸田総理はそういう気持ちはゆるぎないんだと思う」
来年秋の自民党総裁選まで、政権の命運を左右するような大きなイベントがなく、よほど大きな失敗さえしなければ、有力なライバルもいないため、政権の維持は不可能ではない、という指摘です。
後藤さん:「どの派閥も色んな問題を抱えているわけです。安倍派はご承知の通り。麻生派は河野太郎さんを抱えていながら、麻生さんがうんと言わない。茂木派は茂木氏が会長ですが、派内の支持が非常に低い。二階派はもとより、候補者そのものがいない。だから、岸田派だけがかろうじて岸田総理について、本人がやめると言わない限り、なかなか降ろせない」
(「グッド!モーニング」2023年12月15日放送分より)
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