そもそも日本には2種類のクマが生息しています。種類によって、私たちの対策も変えなければならないのでしょうか。クマの生態に詳しい石川県立大学・大井徹特任教授に伺いました。
■「実はヒグマも本州にいた」専門家に聞く
クマは世界に8種類存在していると言われています。私たちが動物園で目にするジャイアントパンダもクマの1種です。日本に生息しているクマは、ヒグマとツキノワグマです。
この2種類の違いについて、大井先生に聞いてみました。
まず、大きな違いの一つが生息している場所です。
ツキノワグマは本州と四国、ヒグマは北海道に生息していて、津軽海峡を境にはっきりと住んでいる場所が分かれているということです。
なぜ別れているのでしょうか。先生に聞いてみますと、「その理由は氷河期時代に遡ると見えてくる」ということです。
当時の津軽海峡は海面が低く氷がたくさんあったので、氷を橋の代わりにして渡れたということです。北からやって来たヒグマが本州に渡り、南から来たツキノワグマと共存していた時代もあったそうです。
ところが、地球の温暖化が進行すると、ヒグマは寒い所を好むので、北へ移動しました。さらに、津軽海峡周辺の氷が溶けて海面も上昇して今のような状態になり、渡ることができなくなりました。これによって、生息域がはっきりと別れたということです。
■「どちらも慎重」共通点と相違点
生息している場所だけではありません。2種類のクマには他にも違いがあります。それが大きさです。ツキノワグマは120センチから180センチの大きさです。一方、ヒグマは170センチから280センチにまで成長するそうです。
そして、得意なことも違っていて、ツキノワグマは木登りが得意です。一方、ヒグマは穴掘りだということです。
大井先生に「他に違う点はありますか?」と聞いてみましたが、大きな違いというのはこの程度で、実は共通している部分も多いということです。それは「食べ物」「出産時期」「性格」です。食べ物はなんでも食べる「雑食」、出産はどちらも「2月上旬ごろ」、そして性格も「慎重」だそうです。
そして、ツキノワグマでもヒグマでも「クマへの対策」が共通している点があることが分かってきます。
2種類とも雑食ということで人里に寄せ付けないために柿の実を撤去などする。「慎重な性格」というのも共通していますので、鈴を持ったり音が出るものを持ったりする。大井先生は「被害を防ぐ対策を地道にとることが大切だ」と話していました。
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2023年11月3日放送)
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