クマ被害の影響で、狩猟免許試験の応募者が殺到しています。15日から猟が解禁された群馬県で、ベテランハンターに密着しました。
■被害人数は全国で180人 史上最多を更新中
全国でクマによる被害が相次いでいます。
富山市では16日、50代と70代の男性が柿の木を切る作業中にクマに襲われました。顔をけがするなどの重傷です。クマの行方は、まだ分かっていません。
環境省によると、4月から10月までの被害人数は全国で180人。統計開始以来、史上最多を更新し続けています。
■クマ遭遇を覚悟…狩猟免許試験に挑む大学生
クマの出没が相次ぐ北海道では今、狩猟免許試験への応募者が殺到しています。今年の試験には1200人以上の応募があり、コロナ禍前の1.6倍に増えました。
一部の会場では、定員オーバーとなったため抽選を実施しましたが、急きょ抽選に漏れた137人に対しても、来年に新たな試験日を設定し、試験を受けられるようにすることを決めました。
先週、神奈川県の狩猟免許試験を受けたばかりだという大学生(23)は「自分で動物を獲って食べてみたいということに興味を持っていた」と話します。
クマと遭遇することについても、大学生は「就職先が群馬の会社なので、そこで獣害駆除隊員として、銃を持って山に入りたいというふうに考えています」と話し、覚悟を決めています。
■今年の山に異変発生? ハンターに密着
若い世代が狩猟免許の取得に興味を持つなか、番組は実際にクマ猟を行うベテランハンターに密着しました。
クマ猟師歴45年、これまで50頭のクマを駆除してきた高柳盛芳さん(69)です。
高柳さん:「ちゃんとした神髄があるから、それを見極めないとクマ獲りは無理。最低10年かかる。1人前になるのに」
6人の弟子を抱える高柳さん。16日、ハンター仲間と群馬県みなかみ町の山にクマ猟に入りました。
高柳さん:「きょうはクマがいる餌(えさ)場。餌のなってるところを探して、できたら捕獲する。餌場が分からないから、獲れない。普通のハンターはね」
険しい山を登ること1時間近く、高柳さんは「あそこを見てごらん。杉が皮むけてるだろ。あれ、クマがむいた」と話します。
さらに、山奥深くに進み、ついにクマの餌場に入りました。クマの気配を感じるなか、高柳さんに動きがありました。
高柳さん:「近くにいるぞ」
耳に手を当てる高柳さん。一気に緊張感が高まります。
高柳さん:「子グマが鳴いたのが聞こえた?キャキャキャキャって言ってた」「(Q.子グマがいるということは?)親がいる」
鳥の声や枝葉のこすれる音に紛れてしまったため、番組のカメラでは子グマの鳴き声を捉えることはできませんでしたが、高柳さんは聞こえた鳴き声を頼りに、クマの親子を追います。
今年の山には異変が起きているといいます。
高柳さん:「こんなにナラがあっても、実(ドングリ)がならなかった。クマが来ない。普通はここにクマがいる。2頭か3頭いるんだよ。餌がないんだよ。だから、下におりる」「(Q.だから、人里に?)そうそうそう」
結局、この日はハンターの前でクマが姿を見せることはありませんでした。
■ジビエ料理・サバイバルゲームで関心も
クマは高い木の上に潜んでいることもあり、急に目の前に現れる危険性もあります。群馬県では狩猟免許を持つ人が増加傾向にあり、40代以下は10年前の2倍以上です。
猟友会によると、ジビエ料理に関心がある人や、サバイバルゲームから興味を持ち始める人もいるといいます。
ベテラン猟師・高柳さんは「若い子が免許取ってくれて、一生懸命やってくれるとありがたい。それを切に願うよね。良いハンターになって、農家を害獣から守ってもらいたい」と話し、若者に期待を寄せています。
(「グッド!モーニング」2023年11月17日放送分より)
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