現役の高校教師が上司である校長に対し、給料から天引きされていたPTA会費を返すよう求める異例の裁判が進んでいます。学校で何が起きているのでしょうか。
■“PTA会費返してほしい”教師が訴訟
鹿児島市内の県立高校教師(40代):「存在意義があるからといって、不法、違法なやり方、運営をしていいということではない」
番組の取材に“PTAの会費を返してほしい”と訴えたのは、鹿児島市にある県立高校に勤める40代の男性教師です。
同意のないまま、給与からPTA会費が天引きされていたとして、当時のPTA会長や校長を相手取り、6年分の会費1万6560円の返還を求める裁判を起こしています。
男性は、2017年の着任以降、毎月の給与からPTA会費「230円」が引かれていました。
■給与天引きは「違法」主張
PTAとは、英語のParent(保護者)、Teacher(先生)、Association(組織)の頭文字をとったもので、保護者と教職員が学校や地域と連携して子どもたちのために活動する団体です。
鹿児島市内の県立高校教師:「今年3月に岸田総理が国会答弁で『PTAの加入は任意』と明言し、ニュースになった。多くの人がPTAは任意の社会教育団体だと知らない」
男性は「任意団体であるPTAが同意なく会費を取るのは違法だ」と主張。これに対し、PTA側は「会費の天引きが明記された給与明細を受け取り、内容を認識しつつも異議がある旨の意思表示をしなかった」などとして訴えの棄却を求めています。
鹿児島市内の県立高校教師:「(会費を)引き去った後で給与明細を渡したから、引き去りに同意したというような契約のあり方があるのか」
■PTA非加入家庭に通告「行事に参加できない」
PTAへの加入について、疑問を感じているのは教師だけではありません。
小学1年生の子どもを持つ父親:「なぜPTAに入っていないと、こんなに困ることが出てくるんだろうと…」
今年、長男が小学校に入学した30代の男性は、PTAの活動に意義を感じられなかったため加入しない意思を学校に伝えていました。
男性は加入した覚えがないまま半年以上が経ちましたが、先月になって突然、PTAから「退会届」の提出を求める手紙が届いたといいます。
そこには、退会届を受理するまでは退会完了とならないことや、退会すると卒業式などの式典で記念品がないこと、行事に参加できないことなどが書かれていました。さらに…。
小学1年生の子どもを持つ父親:「何で自分がもらえないか担任の先生に子どもが質問することがないように、家でちゃんと指導しておいて下さいみたいな一文があった」
小学1年生の子どもを持つ父親:「(Q.手紙が来て入った方が良いと思うのか、PTAには入りたくないなのか?)こんなに色々ガチガチにされて。脅されているような手紙まで届くので、あまり所属する気はないというのが正直なところ。日常生活では全然困ることはないと思うので、次の行事の時どうしようかなという感じ」
その後、学校側からは「協議の結果、記念品はすべての児童に配ることに決めた」と伝えられたということです。
■専門家「自主参加でも参加が前提に」
任意団体であるPTAに、なかば強制的に入会させられる現状について、街の保護者はどう捉えているのでしょうか。
40代:「強制だと思っていた。何も確認がなかったら、後からあれという気持ちになるかもしれない」
30代:「意思の確認はしてほしい。ただ、子どもに関することならば、断る理由も難しいと思う」
PTAの問題について、専門家は…。
企業などの組織論を研究 同志社大学政策学部 太田肇教授:「日本の組織というのは、建前は自主参加であっても実質的には参加が前提にされていて、本人の加入の意思などは改めて確認しないというのが行われてきた。そこに問題がある。参加自由にすると、場合によって参加者がグンと減る可能性もある。それによって今の体制がうまくいかないというのであれば、行事そのものを場合によってはもう少し選んで簡素化するとか、必要不可欠なものだけを残すとか、そうした工夫が必要になる」
(「グッド!モーニング」2023年11月22日放送分より)
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