パレスチナ自治区ガザでハマスに拘束されている人質の解放と、戦闘の一時停止について、イスラエルとハマス双方が合意したと中東カタールが発表しました。
■イスラエルも“国内の声をきいておかないと政権が持たない”か
井上貴博キャスター:
先日、イスラエル軍が病院に強行突入しました。そのことに対する「やり過ぎだ」という国際世論、イスラエル国内からも批判が上がっています。そういったなかで交渉に応じる姿勢に転じたともいわれています
現地時間の22日未明、イスラエルの臨時閣議で了承されたのが、ハマスへの交渉案です。子どもと女性の人質、少なくとも50人の解放を条件にして、4日間の“戦闘一時停止”という案が了承されました。
この交渉案ではさらに、10人の人質が解放されるごとに戦闘停止を1日追加していき、4日を5日、6日…と延ばしていくということです。
イスラエルメディアは、イスラエルが拘束しているパレスチナ人の女性や子ども150人の解放も含まれる報じています。これがイスラエル側の発表です。
一方でハマス側は、ロイター通信によりますと、イスラエルの刑務所からパレスチナ人を解放する代わりに、ガザから約50人の人質を解放することでイスラエルとの交渉案は合意したと発表しています。
ここにきて一転して、こういった交渉に至った背景・タイミングについてです。交渉合意前、メディアでは「早ければ23日から一時停戦、人質解放を開始か?」ということで、かなり早い段階で話が進んでいるということがうかがえます。
そのタイミングについて、中東情勢に詳しい防衛大学校の江崎智絵准教授に話を伺いました。
まず、イスラエルの背景です。人質がいるガザへの攻撃に国内世論が反発し、人質優先にシフトしようとしているのではないか。やはり、イスラエル国内の声を聞いておかないと今のイスラエル政権がもたないということで、世論が反発している今、人質優先にシフトしたのではないかということです。
では、ハマスはどう考えているのか。壊滅的になった組織を、4日間しか最初はありませんが、一時停戦の間に少しでも立て直したい。こういった両者の思惑があったのではないかという分析です。
■“人質のカード”がなくなったらどうなる?最悪のシナリオは
井上キャスター:
イスラエルのネタニヤフ首相いわく「我々は完全に勝利に達するまで、人質全員を取り戻すまで戦争を続ける」とのことで、この姿勢はどうも変わっていないようです。
この先、どういったことが考えられるのか。江崎准教授いわく「ハマスが“人質のカード”をうまく利用して協議を続けていければ『停戦』となる可能性も」あるということです。
今はあくまでも4日間の停戦だけですが、人質のカードがまだ残っている。それをうまく利用していけば、先延ばし先延ばしにして、ある程度の停戦というところに落ち着くこともありうるのではないかとしています。
最悪のシナリオとしては、イスラエルが戦闘を再開することです。今は4日間停戦するといっているだけですので、5日目から攻撃再開をしても、まったくおかしくはありません。
そうなると周辺の反イスラエル組織も反発し、イスラエルとハマスだけの二極の対立ではなくて、その周辺を航行する各国の船舶も攻撃対象になります。もっと広い意味での戦争、泥沼化する可能性はもちろん残されているという現状があります。
ホラン千秋キャスター:
若新さん。このまま仮に戦闘停止となり、10人の人質が解放されるたびに1日ずつ戦闘停止を延ばしていきます。
これを続けたとしても、ネタニヤフ首相としては「人質を取り戻す、さらには勝利に達するまで徹底的にやる」としているので、では人質が全員いなくなったあとどうなるのか?など、まだまだ不安な点はたくさんありますよね。
若新雄純 慶応大学特任准教授:
まず我々人間というのは、一度血が流れてしまうと、こういった紛争・戦争はどんどんエスカレートしていくんだなと改めて感じますよね。
この問題についてはどっちが先に仕掛けたのか、どっちが原因なのか、どこを起点とするかは、歴史的に非常に複雑じゃないですか。
となると今、もちろん世界的な世論としては、大国の多くはイスラエル側を支持していて、イスラエルが圧倒的に軍事力も強くて、イスラエル側は優位なわけです。
ただ、こういうときこそ力があり、世界的な支持を得ている側のほうが何とか冷静になって、譲歩するじゃないですが…。もちろんイスラエル側には、言い分はめちゃめちゃあると思いますよ。イスラエル側だって、たくさんの命を失ってしまっているわけですから。
しかし世界的に力があり、立場が強いというか、余裕があるほうが冷静になって譲歩していくということでしか、エスカレートを止められないのかなと。そういうイスラエルの姿勢を願いたいなと、僕は思いますけどね。
ホランキャスター:
希望も込めて、ですよね。
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