孤立集落「丸ごと避難」 葛藤…「家に猫」別れに涙 地震2日後から…毎日、新聞配達【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年1月15日)

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 能登半島地震の発生から2週間になります。道路やインフラの復旧が進まず、孤立の長期化が避けられないというなか、石川県では孤立集落の丸ごと避難が始まりました。

■「集落丸ごと避難」自衛隊の活動に同行

 甚大な被害が出た輪島市では、いまだ孤立が解消しない集落もあります。

 深い山々と海に囲まれた「西保地区」では、最大で814人が孤立していました。

自衛隊
「きょうの任務については27番に行って、現地の人がいま何を欲しているか確認」

 集落に向かう道は、土砂崩れや倒木で寸断。これまでは、自衛隊がロープで崖を下り、支援物資などを運んでいました。

 孤立状態が長期化した地区に対して行われる「集落丸ごと避難」。

 14日、自衛隊の活動に同行しました。向かったのは、避難所の小学校。

隊員
「ここはいま全員で何人いますか?」

男性
「ここは16人」

隊員
「体調悪い方おられます?」

男性
「いない」

隊員
「いなければ、どんな組み合わせでもいいので。最初に6人。なるべく世帯とか家族でまとめて乗ってもらうのがいいと思うので」

 隊員に支えられながら、最小限の荷物を手にヘリコプターへ向かいます。

■「心残り」飼いネコとの別れに涙

隊員
「寒いので、中に入ってた方がいい。次の便の時に、お声掛けします」

女性
「うん」

隊員
「その時に出て、用意って感じになる。ここで長いこと待っていたら寒い」

女性
「寒いねぇ、寒い」

孤立集落から避難する男性
「もう、最高にうれしいですよ。これだけ通信手段から、すべて孤立状態では、これ以上いても仕方がないし、みんな年寄りで大変な思いしてるから、ありがたいと思います」

 電気や水道など復旧のめどが立っていない「西保地区」では、小学校に避難していた30人が6人ずつヘリに乗り込み集落を去ります。

隊員
「リュックおろした方がいいと思います」

男性
「はい?」

隊員
「荷物積み込むので、私たち持って行くので」

 ヘリコプターへ向かうその表情は、笑顔。

隊員
「ヘリ乗りますので」

男性
「はい。乗っていいの?」

隊員
「はい」

孤立集落から避難する男性
「気分は最高」
「(Q.荷物とか置いてきたけど生活は?)だけど生きているもん。生きているならまだ大丈夫ですよ」

 「西保地区」を去った住民たちは、能登空港で大型ヘリに乗り換えるといいます。

 避難に前向きな人がいる一方で、“葛藤”を抱える人もいます。

孤立集落から避難する女性
「脱出できたのはうれしいですけど、まだ家の方に自分が飼っていたネコとかをおいてきたもんで…。それが心残りかな」

 女性はこのように話し、飼いネコとの別れに涙を流します。

孤立集落から避難する女性
「みんなと一緒に行動しんと、他の人にも迷惑になるかなと思ってついてきました。『待っていてね』って言ってきました。仕方ないです。こんな状況やし…」

 自衛隊員の手を借り、輸送機へ。最終的に、住民たちは白山市の避難所へ入ることになります。

■被災地に雪…輪島朝市の捜索を延長

 14日時点で、能登半島地震による死者は221人、このうち災害関連死は13人。

 長期化する避難生活に、各地で高齢者など配慮が必要な人を中心に「2次避難」が呼び掛けられています。

輪島市金蔵地区 井池光信区長
「しばらく雪の降る厳しい大寒を迎える時期は、健康のためにいったん離れて安定して、さあやろうという意識でここへ(戻って)来ると皆さん言っている」

 被災地に降り積もる“雪”。

 大規模捜索が続く輪島市「朝市通り」の火災現場では、13日朝から雪が降り続いていて、現場は白く染められています。

 雪が吹き付けるなか、警察など数百人態勢での捜索。雪によって思うように進まなかったこともあり、捜索が延長されました。

 穴水町で停電が続くなか、こちらの男性は石油ストーブで暖を取っていました

地元住民
「家の中の片付けをしながら、夜は避難所の方に」
「(Q.このストーブの明かりで?)そうです」「あと懐中電灯と」

■穴水町の新聞配達員 地震発生2日後から毎日配達

 電気などのライフラインが復旧していない地域があるなか、被災者が求めているのが…。

地元住民
「新聞の情報も必要ですね。災害情報の細かい給水とか色んな情報が毎日確認できますから。入浴の施設とかも、どこでやっているかも…」

 穴水町で新聞販売店を営む寺下博史さん(66)。地震発生の2日後から店舗周辺の住宅と避難所に新聞を毎日配り続けています。

寺下さん
「商店街も昔からのお宅がみんな倒壊しちゃって。気持ちが折れそうですよ。でも来てくださったり待っているよと言われると、もうちょっと頑張ろうかなと思います」

 14日午前6時半すぎ、この日も新聞を必要としている避難所に届けるため、車を走らせます。

寺下さん
「おはようございます。元気にしている?」

避難している男性
「元気にしているわ」

 新聞は被災者にとって貴重な情報源。手にした人たちからは、笑顔がこぼれます。

避難している人
「(Q.新聞が毎日届くっていうのはどう?)うれしいですね。みなさん楽しみにしています」
「涙ですね。(新聞を)読んでいく度に涙が出てきます」

 避難所での配達を終えた後、休む間もなく次の準備に取り掛かります。

寺下さん
「よかったらどうぞ」

地元住民
「どうもすみません、ありがとうございます、ご苦労様です」

 今度は歩いて1軒1軒を回り、顔を合わせた住民に声掛けをする寺下さん。

地元住民
「いつも配達してくれるので。うちらまだテレビもつかないので新聞だけが…。すごく助かっています」

寺下さん
「料金は、災害地は無料で配達しています」

女性
「そうなんや」

地元住民
「(Q.電気は?)電気はきのうきました。電気ってこんなにありがたいと思うのね」

寺下さん
「あとは水道やね」

地元住民
「そうやね、水道ですよね。ありがとうございます」

 そして配達をすることは、別の目的もあります。

寺下さん
「おはようございます。留守にしていた?」

地元住民
「留守にしていた。金沢から戻ってきて…」

寺下さん
「気を付けて」

地元住民
「ありがとね、いつも」

 住民の安否確認や近況を知る目的でもあるのです。

寺下さん
「やっぱりこうして回っていると、○○さんどこに行っているとか。電話とかラインでお知らせくださる方もいらっしゃるので。家いないからねって」

■「能登かき」最盛期前に津波…「涙も出ない」

 穴水町の特産品「能登かき」。この時期、最盛期を迎えるはずでしたが、地震で大きな被害を受けました。

60年かき養殖を営む 馬道百合子さん(82)
「これから身もだんだん大きくなって、おいしくなって」
「ぐわーっときた時は本当に怖くて、ちっとも体が動かせんで。津波の情報も入っているから高台にあがらんか言うて、その方が私を連れ出してくれてね」

 隣近所に声を掛けてもらい無事に避難することはできましたが、周辺では倒壊した家屋も多く、被害の大きさを物語っています。

 馬道さんの家の外も大きなひび割れ。さらに、自宅前の道路に亀裂が入り、割れ目から海水が噴き上げてくることもあるといいます。

馬道さん
「ここから水がじゅじゅじゅじゅ~と」
「これが船、桟橋も、ガタンと津波で。こんなふうに落ちたんよ。津波の仕事、これ」

 桟橋が崩壊し、船にたどり着くことができず、仕事ができない状態になりました。

 例年は1月になると、遠方からも注文が入るそうですが…。

馬道さん
「だめやね、間違いなくだめやって、はっきり返事しました。お仕事は今すっかり手につきません」
「災難ってすごいもんやわ、いっぺんにがちゃがちゃにしてしまう。涙は出なかった、わしは悲しけりゃ、そのショックで涙止まってしまう」

 先が見えない不安を抱えながらも、養殖再開への思いを口にします。

馬道さん
「大変なことを乗り越えて頑張らにゃなと思って眺めてるわけや。諦めない、きれいな自然に恵まれて、育まれて80年もきたんやから。頑張りますわ」

■岸田総理 被災地を視察

 14日、岸田文雄総理大臣は被災地を視察しました。

岸田総理
「国や県が、しっかりバックアップしていきます」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年1月15日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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