国連総会で各国の首脳らによる一般討論演説が行われました。
ウクライナ侵攻後、何度も聞かれるようになった「国連の機能不全」という言葉。それでも、ようやく訪れた本格的な対面外交復活です。
岸田総理:「我々は、人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべきです。我々が目指すべきは“人間の尊厳”が守られる世界なのです」
繰り返された「人間の尊厳」という言葉。ウクライナ侵攻を念頭においたものですが、さまざまな国への配慮から、それ以上、踏み込めなかったというのが現実のようです。
この日、5つの常任理事国で首脳が出席したのは、アメリカのみ。
アメリカ・バイデン大統領:「紛争の平和的解決のための国連総会が、今年も戦争という暗い影に覆われました。ロシアは、世界が疲れれば、ウクライナ対して残虐行為ができると考えています。しかし、ここで問いたい。我々が侵略者をなだめることを諦めたら、皆さんは、守られていると安心できますか。ロシアから、あなたの国の主権が守られるでしょうか。その答えは『ノー』でしょう」
ウクライナ侵攻後、初めて国連を訪れたゼレンスキー大統領。対面演説でも温度差が表れていました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「私は断言します。我々は団結することで、各国に平和を約束し、団結することで戦争を防げるはずです。ロシアの欺瞞と侵略を許せば、この会場の多くが空席になるかもしれません。どんな戦争も最終戦争につながりかねません。侵略戦争が二度と起きないよう
、我々が団結するしかないのです」
自国が名指しで批判されているにもかかわらず、ロシアのポリャンスキー国連次席大使がスマホの画面を見せると、隣に座る女性は、大笑い。ポリャンスキー国連次席大使は記者に「ゼレンスキー氏が話しているのに気づかなかった」と答えたそうです。
演説中の会場を見てみると、他国も空席が目立つのがわかります。新興国の中には、ウクライナをめぐるアメリカとロシアの対立に巻き込まれたくないと、出席をためらった国もあったものとみられます。
侵攻開始から半年ほどしかたっていなかった去年は、特例でビデオ演説が認められたゼレンスキー大統領。その演説の時間に合わせて、各国が続々と集まるほどでした。
ポーランド・ドゥダ大統領:「今日の被害者はウクライナでも、明日はどの国も被害者になり得ます」
今年、ポーランドのように“団結”に応じる国も多くいたのですが、常任理事国の4カ国の首脳は不在。欠席理由ですが、フランスのマクロン大統領は、国内政治に忙しく、国連総会デビューとなるはずだったイギリスのスナク首相は「来月予定している保守党の党大会に備えるため」とも報じられています。
193カ国が参加する国連総会に、あまり価値は見出されていないようです。
そして、中国の王毅外相は、18日から4日間の日程でロシアを訪問。20日、プーチン大統領との会談に臨みました。
ロシア・プーチン大統領:「親愛なる王毅外相、親愛なる大使、中国の高位の方をお迎えできて、とてもうれしく思います」
中国・王毅外相:「中国とロシアは、安保理の常任理事国として、世界の平和、安定及び発展に重要な国際的な責任があります」
バイデン大統領がウクライナ支援を訴えたなかでも、アメリカメディアからは辛辣な指摘が出ています。
ウォール・ストリート・ジャーナル:「ならず者国家と勢力圏の多極化に特徴付けられた世界秩序が顕在化しつつあるなかで、国連は、今後、何らかの貢献を果たし得るのか。ウクライナの紛争に関しては、役立たずにも劣る存在になっている」
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