香港の「民主の女神」と呼ばれた周庭さん(27)が4日、カナダへの事実上の亡命を発表しました。
■「香港に生涯戻らない」留学先から声明発表
香港の民主活動家 周庭さん(2020年8月):「国家安全法のもとで、香港の人の間には、とんでもない恐怖感が今あります。でも、そういう恐怖感に負けずに引き続き自分の信念、私たちが信じている自由と民主主義のために戦っていくことが、とても大事だと思っています」
香港の民主活動家・周庭さんは、流暢(りゅうちょう)な日本語で多くのメディアに対し、香港当局による弾圧の実態を語ってきました。
27歳の誕生日にあたる3日深夜、自身のSNSを2年半ぶりに更新し、現在カナダに留学中で「香港には生涯戻らないと決めた」と声明を発表しました。
周庭さんが出した声明:「やりたくないことを強制されたくないし、もう中国本土に行くことも強制されたくない。このままでは、仮に安全であっても心身が崩壊してしまう」
■パスポート返却のため強制で「愛国教育」
周庭さんは高校時代から香港の民主化を求める運動に参加。2019年の大規模な民主化要求デモでは中心メンバーの一人として、「民主の女神」と呼ばれました。
周庭さん(2019年):「(2014年の)雨傘運動はもちろん、香港の新たな歴史を作った運動ですけども、雨傘運動は成功していなかった。民主主義を求めていきたい」
しかし、翌年の2020年には、香港で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行され、周庭さんは許可なくデモを組織したとして逮捕されていました。
周庭さん(2020年8月):「これからどういう結果が出るのか分からないのですが、もちろん収監という可能性もあります。でも、私にとって香港の民主運動に参加することは光栄だと思っています」
実刑判決を受けた周庭さんは、7カ月後に出所しましたが、声明によると、出所後も定期的な警察への出頭などが求められたということです。
今年に入ってカナダへの留学を決めましたが、パスポートを返却してもらうために香港当局からは中国本土での「愛国教育」が強制され、二度と民主化運動をしないと誓約させられたといいます。
上海支局 高橋大作記者:「2020年の6月、国家安全維持法ができてから、かなり(香港当局は)厳しい取り締まりをしてきたんですが、それによって周庭さんも発信を控えてきました。実質的にもう香港の中で、デモをするということは非常に難しい状況。完全に法律で縛られている。SNSでやり取りするだけでも、さかのぼって摘発される可能性があるという場所になってしまっています」
(「グッド!モーニング」2023年12月4日放送分より)
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