先ほど、都内で岸田総理と麻生副総裁が会談したことが分かりました。派閥の解散検討を表明した木曜日に2人が緊張感のあるやりとりを交わしたことも分かってきました。
■岸田氏 麻生氏が会談 “派閥解散”めぐり協議か
午後8時前、都内のホテルから出てきた岸田総理。その直後、麻生副総裁の姿も…
2人が今夜およそ2時間にわたり、会談していたことがわかりました。派閥の解散について何か話し合ったのでしょうか?
■安倍派解散に昭恵氏「寂しい気持ちも」
Q.「安倍派」という名前がなくなったことについては?
(安倍元総理の妻 昭恵氏)「寂しい気持ちもありますけれども、しっかりと自民党が新しく生まれ変わって信頼を取り戻してもらいたい」
安倍派の解散が決まった翌日、安倍元総理の後を継ぐ吉田真次衆院議員の後援会発足式が開かれました。
(安倍派 杉田水脈衆院議員)「ニュース速報で『安倍派解散へ』というのが出た。それを見た瞬間には泣きました。悲しかったです。安倍先生が愛した自民党をもっともっと強いものにしていきたいと思っております」
集会には、前日に280万円の不記載を認めた江島潔参院議員の姿も。
(安倍派 江島潔参院議員)「残念ながら私も確認してみましたところ、この中のやはり不記載といった部分が出てまいりまして、清和会(安倍派)のほとんどのメンバーがこの収支報告書の訂正をしなければいけなくなっておりますが、吉田代議士だけは、全くクリーンであります」
自民党の派閥の裏金事件では3人の国会議員をはじめ秘書や会計責任者が立件されましたが、任意の取り調べを受けた安倍派の幹部ら7人は立件されませんでした。
(安倍派 塩谷立座長)「この安倍派という政策集団を解散することは本当に申し訳ないし残念だし、個人的にはいずれまた同じような政策集団か分かりませんが、意志を継いで政治活動をしっかりつとめていきたい」
(安倍派 高木毅事務総長)「亡くなってからも安倍派を名乗らせていただいたということは大変ありがたいことだったと思っています。その中で安倍さんにこうした事態になったことを大変申し訳ないと思っています」
(安倍派 西村康稔前事務総長)「このような結果になってしまったことにつきまして安倍元総理に大変申し訳なく思っている」
刑事処分が発表された直後から、不記載を認める議員が相次いでいます。
Q.ご自身の裏金はどれくらいあった?
(安倍派 橋本聖子参院議員)「2057万円。このような政治不信を招いてしまったということに対して深く反省しておりますし…」
(安倍派 高橋はるみ参院議員)「一定の目標設定されたもの以上に我々が集めたものについて還付を受けた、この事実はございます」
この日も…
(二階派 宮内秀樹衆院議員)「5年間で総額161万円であります。ルールを逸脱する行為でありまして決して許されることではないと考えております」
この状況に立憲民主党の泉代表は―。
(立憲民主党 泉健太代表)「あの派閥のごたごた、『解体』という報道がバーっと流れたときに、矢継ぎ早にその混乱に乗じて裏金を公表した人がいるんです。修正申告すればいい、修正記載すればいいという話になっている。おかしいんじゃないですか、みなさん」
最大派閥の安倍派と岸田派、二階派が解散するという異例の事態。裏側では、何が起きていたのでしょうか?
■「これは何なんだ」解散決定時 緊迫やりとり
発端は、この発言でした。
(岸田総理大臣)「宏池会(岸田派)を解散することを検討しております」
政治ジャーナリストの田崎氏によると、岸田総理は他の派閥に相談することなく、突然この決断を口にしたといいます。
(政治ジャーナリスト 田崎史郎氏)「それまでに岸田さんがやられていたことは、 官邸の総理執務室に、岸田派・宏池会の幹部の人たちを次々と約10人呼び込んで、派閥(岸田派)を解散したいと思っているということを告げて同意を得たと。派内調整なんです、やってたことは。しかし、他派閥には一切言っていなかったということです」
岸田総理が「解散検討」を表明したのは午後7時半前。田崎氏の取材によると、それからおよそ1時間後、麻生副総裁から岸田総理に電話が入ります。
※田崎氏の取材による
(麻生副総裁)「報道で聞いたけれども、これは何なんだ。自分たちは自分たちで考えるよ」
(岸田総理大臣)「それはそうですね。私の方は私の方で考えましたから」
(政治ジャーナリスト 田崎史郎氏)「半ば喧嘩別れのような格好で(電話が)終わっているんですね。事前に岸田さんが一言でも麻生さんにおっしゃっていればまた違ったと思うんですけれども、岸田さんは麻生さんに全く言わないで、麻生さんは報道で知って岸田さんに文句を言うという形なんですね」
■“三頭政治” 今後の政権運営どうなる?
それぞれが派閥を率い“三頭政治”と称されてきた岸田総理と麻生氏と茂木氏。しかし、派閥解散を決めた岸田派に対し麻生派と茂木派は慎重な姿勢を示しています。
そして翌日…
(岸田総理大臣)「政治の信頼回復のために宏池会(岸田派)を解散すると申し上げました。ただ他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にはないと考えています」
岸田総理を一貫して支えてきた麻生副総裁。午後3時半、自民党本部に入りました。
(政治ジャーナリスト 田崎史郎氏)「僕は麻生さんのお気持ちは非常に怒ってるということだと思います。それに気がついて、岸田さんは午後3時半過ぎに自民党本部に行って…」
時間にして40分、2人はこんな会話を交わしたといいます。
(岸田総理大臣)「事前に連絡しなくて申し訳ありません」
(麻生副総裁)「いつも色んなことで相談して頼んでくるのに、一番大事なときに、うんともすんとも言ってこないのはどういうことなんだ」
麻生氏と茂木氏は派閥のありかたについて、政治刷新本部の中間とりまとめを踏まえ所属議員と相談するとしています。
(菅義偉前総理大臣)「そこ(派閥)の解消っていうのが私は必要で乗り越えるべきだ」
麻生氏と共に刷新本部の最高顧問を務め派閥解消を訴えてきた菅氏は、今回の岸田総理の決断をどう見ているのでしょうか?
(政治ジャーナリスト 田崎史郎氏)「菅さんはこの問題、岸田さんの決断を評価されていると思います。それは菅さんは派閥解消をずっと唱えられてきたんで。『自分が言っていたことを岸田もやるようになった』と」
Q.今回の岸田さんの一手が、これまでの政権の枠組みに対して何か変化を起こすのか?
(政治ジャーナリスト 田崎史郎氏)「そこは変化が起きてくるだろうと思います。岸田さんは政権の屋台骨である麻生派と茂木派に対して壊す行為をしてるわけですね、基盤を。政権への協力度合いも表では表面上は変わらなくても、心理的には半主流派。その半は半分の半ですけれども、全面的な主流派から半分の主流派に、半主流派に変わっていくだろうと思います。それは結局、政権の不安定化につながるということです」
■スタジオ解説 岸田総理と麻生氏 約2時間の“緊急会談”
Q.いま岸田総理と麻生氏が会うことの目的は?
(テレビ朝日 藤川みな代 政治部長)「関係者によると会談は急遽セットされた。永田町では岸田総理の根回しのない解散表明で麻生氏と岸田氏の間には決定的な溝ができたとの見方があったが、2人で2時間近く食事をしながら会談。どちらにも関係修復を図りたい気持ちがあるとみられている。明日以降の政治刷新本部の進め方、派閥をめぐるルールづくりについて腹合わせをしたのでは」
Q.麻生副総裁、茂木幹事長が今までのように岸田総理を支えるとは考えづらいが?
(テレビ朝日 藤川みな代 政治部長)「岸田総理周辺もリスクは感じ取っている。党内力学に沿っていたら世間から見放される。リスクはあったとしても派閥解消を打ち出さざるを得なかった。麻生派の中からは岸田総理に対して“すごく場当たり的だ”と、“これまでど真ん中で政権を支えてきたのに”と恨み節も聞こえてくるが、一方で“世間から派閥が悪の温床と思われている中で、派閥が必要とは言えない”。あるいは“党内で抵抗勢力とされかねない”という懸念も。公然と“岸田下ろし”に出る状況ではない」
Q.太田さんも岸田総理が麻生氏に相談しなかった経緯を取材されたそうですが?
(共同通信社編集委員 太田昌克氏)「総理側近に話を聞くと“総理の判断で岸田派解散は麻生氏に相談せず、茂木氏にも言わなかった。情報漏れを心配した側面も”。先手を封じられないよう、情報戦さながらの状態に。打ち出すタイミングは、“岸田派元会計責任者立件への報道が最後の引き金に”。総理としては追い込まれ辞任の恐れもある中“九死に一生”を狙い、“最後の賭け”に出たか。ただ、政治刷新本部初会合の時に派閥解散を打ち出したなら良かったが、タイミング的に総理の保身のためと見られても仕方ない」
Q.“政治刷新の議論”どこまで踏み込んだ中身に?
(テレビ朝日 藤川みな代 政治部長)「まさにこの週末、自民党議員は地元に帰って有権者の厳しい批判にさらされて、戻ってきて議論に。ただ現時点では“派閥禁止”のルールにはならない見通し。派閥に対するルールづくりをして、これからは党が派閥への関与を強めるという方向で議論される見通し。具体的には閣僚人事や党人事へ派閥が推薦を出すような関与を禁止、派閥のパーティー開催を禁止、外部監査を義務付けるというようなことを検討」
「こうしたことを禁止したとしても、個人で議員がパーティーを開催することはでき、党が議員に配る“政策活動費”というものがあり、使い途を公開しなくても良いということに現時点ではなっているため、こういったところが残ったままでは本格的な透明化とはなかなか見られない」
Q.罰則強化、政治資金規正法の改正は?
(テレビ朝日 藤川みな代 政治部長)「国会議員への影響が大きいとみられるのは罰則強化で“連座制”を適用すること。秘書や会計責任者だけでなく議員本人も責任を負うということで、自民党も前向き。与党の公明党からも提言が出ている」
Q.本気度が問われるが
(共同通信社 編集委員 太田昌克氏)「小手先では通用しない。政策活動費を議員に配ることを廃止するくらい思い切ったことをしないと国民は納得しない」
Q.それなりの透明性確保なら総理は次に何を?
(テレビ朝日 藤川みな代 政治部長)「もしも内閣支持率が回復すれば、解散総選挙に踏み切る可能性も。時期は予算が成立した後、そして6月になると減税の効果が出てくる可能性があり、賃上げなどの効果とも相まって雰囲気が醸成されれば、6月の国会の会期末に踏み切る可能性。一方、支持率が全く回復しなかった場合は9月の総裁選で“岸田下ろし”に」
1月21日『サンデーステーション』より
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