地震発生から7日目能登の被災地には今も雪が降り積もっています。
昨夜、124時間ぶりに救出された女性の息子が、取材に応じました
■被災地に「警報級の大雪」の恐れ
被災地に降り始めた雪…
(佐々木一真アナウンサー)「穴水町の土砂崩れ現場です。複数の住宅が土砂に巻き込まれたということです。きょうの穴水町は雪が降っていまして、雪が降る中での、捜索活動となっています。」
少なくとも9人の安否が分かっていない穴水町の現場では、消防などによる捜索活動が行われていました。現場を見守る家族は…
(家族の安否がわからない寺本直之さん(52))「まだ望みはあるのかなというのはありますし、希望もあればそれを期待しています。」
■「よく頑張った」124時間ぶり“奇跡の救出”
珠洲市ではきのう6日、地震発生から実に124時間ぶり、女性が奇跡的に救出されました。
(救急隊員)「搬送開始 搬送開始」
「大丈夫よ!よく頑張ったよ!」
倒壊した住宅から、どのように助け出されたのか…私たちのカメラは、6時間の救出劇を記録していました。
(佐々木一真アナウンサー)「行方不明者がいると見られるのはこちらの住宅です。」
地震が起きた元日、帰省していた親族などあわせて7人が家の中にいたといいます。現場で動きがあったのは、6日午後2時半。
(佐々木一真アナウンサー)「今、捜索が始まりました。警察官が家の中へと入って行きます」
およそ100人態勢で始まった捜索活動。しかし、そこに余震が…
(佐々木一真アナウンサー)「今、揺れを感じました。下から突き上げる様な揺れを感じました。住宅の中で捜索が行われていたんですが、今一斉に警察官が外に出てきました」
(ディレクター)「下がりましょうか 下がりましょう」
捜索活動は一時中断。さらに―。
(佐々木一真アナウンサー)「日が落ちて、冷たい雨が降ってきました。この雨が降る中でも捜索活動が続けられています」
そして…これは、救出に関わった医療チームが撮影した映像。救助活動と同時に点滴などの医療措置も行っていました。
(医師)「頑張るよ」
救出されたのは93歳の女性。
(医師)「わかりますか?わかる?」
救急隊員の問いかけに、はっきり受け答えができる状態だったといいます。また40代の女性も見つかりましたが、心肺停止の状態でした。一夜明け、救出された女性の長男が取材に応じてくれました。
Q.お母さんとは会話をしました?
(救出された女性の長男)「会話というか、こっちがしゃべったらうなずく程度ですけどね。ぺしゃんこで、わずかな空間で耐えとったんかなと思いますね。皆さん命がけで助けて頂いて感謝しています」
■「涙も出ない…」津波が襲った自宅を前に
元日に能登地方を襲った地震の震源地、珠洲市。
(佐々木一真アナウンサー)「正面ですね、このように大きく段差ができていまして車の通行ができない状況になっています。」
被災した梅木さん。
(被災した梅木正行さん(79))「想像を絶するような感じで…」
自宅への道は倒壊した建物で塞がれていました。
Q.これがご自宅ですか?1階部分、柱が少し右に傾くような形になっている
(梅木正行さん)「水は何とか玄関のそこまでで、床には上がらなかったんですね」
家族6人、全員無事でしたが、自宅はこの通り…津波は玄関の中まで押し寄せ、地震の揺れで建物は危険な状態です。
(梅木正行さん)「涙も出ないです。ここまできたら諦めるしかないし…」
山間部にある孤立集落へ向かうと…
(佐々木一真アナウンサー)「ちょっと降りて状況を確認します。道路の半分ないし3分の1はもうこのように崩れ落ちてしまっている状況です。」
歩いて進むと…道路が完全に土砂でふさがれていました。
(佐々木一真アナウンサー)「ここからおよそ3kmほど先に集落があるんですけれども、これは歩いても集落にたどり着くことができないようです。」
この先に25人ほどが暮らす集落があります。
(佐々木一真アナウンサー)「今、自衛隊員の姿が見えました。自衛隊が孤立していた集落から出てきました。」
Q.今、中はどういう状況なんでしょうか?
(自衛隊員)「道が寸断されているんで救援物資を運んだ。水、アルファ米、灯油40L」
Q.みなさん体調だとか状況は?
「大丈夫です。」
住民は全員無事ということですが、孤立状態が解消されるには、まだ時間がかかりそうです。
■側溝の水をトイレに…断水耐え忍ぶ能登町
(渡辺瑠海アナウンサー)「午後8時半すぎ、能登町です。先ほどから大粒の雪が降り始め、倒壊した建物の屋根に雪が積もっています。」
珠洲市の隣、最大震度6弱を観測した能登町。この状況を何とか乗り切ろうとする人々を取材しました。
(渡辺瑠海アナウンサー)「この歩道も大きく隆起していて普通に歩ける状況ではなさそうです。あちらの建物も崩れていますね。お寺でしょうか屋根が完全に落ちてしまっています。」
およそ500年続く寺、因念寺。地震の影響で本堂の横にあるお堂が崩壊。築およそ150年の本堂にも影響が出ていました。
(渡辺瑠海アナウンサー)「あの辺水が落ちて来てるんですね」
(因念寺 住職 藤巻隆恵さん)「(屋根の)瓦が後ろから見たら波打って一列だけ外れている。だから大屋根から流れてきた水がまともに入って来る状態で…」
金箔で飾られた本堂は地震の影響で屋根瓦が外れ、雨水によって水浸しに…土台の一部も外れ衝撃の大きさが伺えます。
(渡辺瑠海アナウンサー)「ここもかなり被害が大きいようですね。人が住んでいたんでしょうか?かなり崩れてしまっています。」
能登町内ではきょうも余震が続いています…
(渡辺瑠海アナウンサー)「今、取材中です、能登町鵜川地区で地震が発生した模様です、今離れます…」
今、住民の一番の悩みは深刻な水不足です。取材中、意外な場所で水を汲む人がいました。
Q.この水は何に使われる?普段はどういう?
(水をくみに来た男性)「これはトイレ用、ちょっとした洗い物とか、飲み水にはなりませんので…皆さんここで汲んでいますますので」
Q.普段から出ている水なんですか?
「そうですね、普段から出ています。」
水不足の為に側溝の水を利用するなど工夫しながらの生活が続いています。
今後の見通しも立たない中、こんな現場も…
(渡辺瑠海アナウンサー)「今、ちょうどお昼時なんですが炊き出しが行われているようです。」
「熱いし気を付けて」
「ありがとう…」
被災した人々は、焼きそばや豚汁など温かい食事で暖をとっていました。
「もったいないな、こんな温かいもの…もったいないな、なー兄ちゃん」
「はい、美味しいです」
(炊き出しを行う男性)「ちょっとでも温かいものを食べてみんなほっこり出来たらいいかなと思って…」
■「酒造りしたい」創業230年酒蔵も被害甚大
「悔しいけど絶対 残った酒、絶対残っているやつあるはず。」
最大震度7の揺れは、古くから続く造り酒屋にも牙を剥きました。あたりには酒瓶などが散乱し、奥にあるのは酒蔵でしょうか…
「信じられないけども家がつぶれました」
被害は、こちらの酒蔵にも…
(鶴野酒造店14代目 鶴野晋太郎さん(34))「お店は見て頂いたとおり全壊で、奥に酒蔵もあるんですが酒蔵も二階の屋根が落ちて、造った日本酒もすべて下敷きになっていると思います。」
創業230年という『鶴野酒造店』は、“すべてが手づくり”という昔ながらの製法にこだわり、これまで多くの賞に輝いてきました。この時期、新酒もできはじめ、酒造りの真っ最中での出来事でした。
(鶴野酒造店14代目 鶴野晋太郎さん)「『さあここからだ』という時にこういうことになってしまったので、 悲しい気持ちと、何より悔しい気持ちがすごく強いですね」
未だ余震が続き、山から引いている“仕込み水”の状況確認もできていないものの、230年続く伝統は絶やしたくないと言います。
(鶴野酒造店14代目 鶴野晋太郎さん)「強い気持ちを持って前向きに進んでいきたいなと思っておりますし、何よりお酒造りをまだしたいという気持ちは本当に強いので、頑張っていきたいなと思います」
■被災地から中継 凍てつく寒さに被災者は
(渡辺瑠海アナウンサー)「今は小康状態ですが、先ほどまで雪が降っていまして、少しの間でもかなり雪が積もりました。能登町は7日夜~8日明け方にかけて警報級の大雪となる恐れがあります。風も強く猛吹雪となる恐れもあります。能登町役場によりますと、雪が積もった場合、地面がひび割れているため除雪作業も難しいところが多いということでした。そのため物資などを乗せた車両が通行するのも難しい場合があるとお話をしていました。」
「私も連日こちらで取材をしているんですけれども、きょうは一段と冷え込みが激しいなと感じています。きょうお話を聞いた方は『とにかく温かいお風呂に入りたい』と話をしていました。『いまはまだ、お風呂に入ることができないので、家族で身を寄せ合って、布団をかぶってなんとか暖をとって寝ている』と話をしていました。さらに寒さだけではなく、不審者の情報もあることなどから、夜外に出てトイレに行く際も集団行動をするなどして、できるだけ一人にならないようにしていると話をしていました。災害に便乗する犯罪にも注意していただきたいと思います。道路状況や電波状況といったインフラは少しずつ戻ってきています。ですが、厳しい状況は続いています。」
1月7日『サンデーステーション』より
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