バス業界では、慢性的な“運転手不足”のなか、来年からは時間外労働が規制される、いわゆる『2024年問題』が追い打ちをかけます。バス会社『神奈川中央交通』では、未経験でも参加ができる、体験会が行われました。
教官:「大きくね。大きく。自家用車と違って、ハンドルは大きくゆったり回す」
教官:「まだ我慢。切りたいでしょう」
参加者:「はい」
教官:「まだ我慢。まだ我慢。もう少し。大丈夫だから」「うまいです。ゆとりがありますよね」
参加者:「何とか滑らかに動いてほしいなと」
教官:「滑らかに十分動いていますよ」
路線バスの運行会社が開いた、運転体験会。狙いは、新たな運転手の発掘です。こうした体験会は今、各地に広がっています。理由は、どこもかしこも人手が足りないからです。
民間の調査会社による、最新の業績動向調査。コロナ禍の行動制限が解除され、多くは増収となりましたが、燃料費の高騰などが響き、3割の企業は赤字から抜け出せずにいます。運転手の残業規制が強化される『2024年問題』も迫るなか、担い手不足は深刻になり、減便や廃止は8割に及ぶという調査もあります。
現役ドライバーの間でも話題になっています。
東急トランセ 五十嵐正生さん:「同僚の中でも『人が入ってこないね』とか『何でなんだろうね』という話もしていますけど。休みだけど休日出勤してくれないかと、皆さん協力してダイヤを守っている。公共交通ですので“人がいないから”とバスを止めるわけにはいきません」
今月のシフト表には、ひときわ人手が足りない日がありました。
東急トランセ高津営業所 橋口晃寛さん:「毎日人員が足りない。特にクリスマスイブが日曜日です。ここに年休申請が集中しているので、この日が一番マイナスが多い。今、マイナス12ですね」
川崎市にある路線バスの営業所。イブの日は、やりくりを経て、何とか埋められたといいますが、悩みは次々と…。
橋口さん:「特に今、インフルエンザ等がはやっておりまして、ほぼ毎日のように発熱で休むという連絡がある」
教官:「もう運転手になれる自信がついた?」
参加者:「なれる自信っていうのはちょっとあれなんですけど」
教官:「もう応募お待ちしていますので」
運転体験の参加者は、この道に進むのでしょうか。
参加者:「今のところ、他の業種なども見ているところなので、そちらも踏まえて検討させていただきたい。勤務時間とか勤務の長さとか、そこがネックになってはいます」
拘束時間のほか、賃金の引き上げも課題となっている、バス業界。それでも7日だけで、7人が採用試験に進みました。
神奈川中央交通人事部 高原竜大さん:「今回開催したことで、ドライバーになりたい方が出ている。引き続き、行っていきたい」
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