東京地検特捜部は、近く安倍派側への強制捜査に踏み切る方針を固めました。
◆社会部・西前信英記者に聞きます。
Q.今の捜査の状況を伝えてください。
西前信英記者:特捜部は、現在、議員本人への任意聴取について、日程の調整を進めているものとみられます。すでに安倍派では、議員のうち、数十人がキックバックを受けていた疑いがあることがわかっています。特捜部は、安倍派の幹部を含めた議員の秘書らから話を聴いてきました。その結果、一部の議員本人から裏金疑惑の認識について話を聴く必要が出てきたものとみられます。さらに、派閥内を取り仕切る事務総長が、組織的な指示を出していた疑いなどが、仮に出てきたとすれば、今度は、事務総長経験者本人からも話を聴くことが考えられます。もちろん、供述だけではなくて、それを裏付ける客観的な証拠があるかどうかも重要な点になってきます。特捜部は、安倍派側への強制捜査に近く踏み切る方針を固めていて、そこで押収した資料などから分析を進めるものとみられます。
◆政治部・官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。
Q.岸田総理は4閣僚を更迭して再スタートを切りたいところでしょうが、波は険しそうですね。
千々岩森生記者:そうですね。再スタート、新たな船出を切ったような雰囲気は、総理官邸には全くないです。14日、安倍派の閣僚で辞任した鈴木総務大臣ですが、これまで「うちの事務所はいつもカツカツ。キックバックはない」と断言していましたが、政府を去る14日になって「ほんのわずかある」と、自ら打ち明けたわけです。岸田総理としては、まさに、この“後から後から出てくる”状況を恐れていた。そのため安倍派の政務三役15人を一気に代えることを検討したわけです。ただ、安倍派からの反発が強くて、結局は閣僚4人、副大臣5人。政務三役6人のうち、1人は交代したけど、5人は残すという形になりました。非常に綱渡りの人事となったといえると思います。
Q.岸田総理は、安倍派という支えを失って、どう政権を切り盛りしていくのでしょうか。
千々岩森生記者:岸田政権の構図を確認すると、麻生派、茂木派、岸田派の3派に、少し距離はあるけど、安倍派も加わり安定していたと。今回、安倍派が離れた。さらに、深刻な問題があります。かねて溝があると指摘されていた茂木幹事長との関係が、この数カ月でさらに冷え込んでいます。いま、岸田総理にとって、本当に頼れるのは麻生派、麻生副総理だけの状況になりつつあります。非常に地盤が不安定になってきています。
一方で、安倍派の中には「問題を起こした派閥がこぶしを振り上げて、どうするんだ。理解は得られない」とか「総理に言われるまでもなく『安倍派は全員辞任します』と自ら言えばよかった」という不満の声が聞かれます。岸田総理も、安倍派も、自民党全体が、いま、目の前のことに精一杯。今を乗り切るのにやっとの状況だと思います。
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