12日、千葉県館山市で70代の猟師がワナにかかったイノシシに襲われ、30針を縫う大けがをしました。大暴れをして、ワナの金属製ワイヤを切ったということです。
■太いワイヤを引きちぎる強い力
ワナにかかったイノシシが荒い息を吐きながら、ものすごい勢いで突進。撮影者に襲い掛かろうとしてきます。
うっそうとした山の中、猟師が手にしているのは、イノシシを捕獲する道具です。
足をワナに挟まれ、激しく暴れ回るイノシシに道具を近づけた瞬間、猟師はバランスを崩して、斜面を転がり落ちてしまいました。
猟師 太田政信さん:「まさに猪突猛進ですよね。そういう状況で突進してくる」
12日、千葉県では同じようにワナにかかったイノシシを捕獲しようと近づいた猟師の男性ら2人が、暴れたイノシシに襲われました。
イノシシが捕獲された場所に行くと、ワナのワイヤが切れてしまっています。
太いワイヤを引きちぎってしまうほどの強い力。襲われた男性は背中や太ももをかまれ、30針も縫う大けがをしました。
被害に遭った男性:「私の方にドーンときて、きばがゴンッと入って、背中をガーンとやられて、大暴れ」
■ワナにかかっていても危険
先月上旬には群馬県でも、ワナにかかったイノシシの捕獲に向かった男性2人が襲われ、重傷を負いました。
富岡猟友会 事務局長(55):「撃って、イノシシがあまり動かなかった。捕獲処理ができたと近づいたそう。ところが、イノシシに息があって、逆襲してきた」
80代 男性:「身の危険を感じてきている、近隣がね。住居近くに出てきているってこと」
イノシシは、ワナにかかっていても危険だといいます。
太田さん:「イノシシが最後の力を振り絞って、絶対に生きてやるっていう気持ちで突進されると、ワイヤがちぎれたりする。何回も何回もイノシシが同じ方向に転がって、ワイヤが解けたりという状況」
■“アーバンワイルドボア”定着か
市街地への出没も増えているイノシシ。千葉県では、住民も被害に遭いました。
千葉県在住 男性:「骨が開放骨折。腱(けん)が切れていたんです、筋肉。半年経ちますけど、まだ通院中です。私の体に頭突き。手にかみついたら離さず。ずっと執拗(しつよう)に向かってくる」
襲われれば、大けがどころか、死の危険すらあるイノシシ。最近、人の生活圏に近づいてきていると、専門家は話します。
日本大学 生物資源科学部 中島啓裕准教授:「イノシシと出合う頻度が、明らかに今年度は多い感じがする。(イノシシが)増えきってしまっているような状況」
今年、過去最多となっているクマ被害。市街地に出没する「アーバンベア」と同様、エサ不足が影響して、イノシシも人里に下りてきているといいます。
中島准教授:「“アーバンワイルドボア”という言葉が定着していっているかもしれない」
“アーバンワイルドボア”とは、直訳すれば「都会に住む野生のイノシシ」です。人を怖がらなくなってきているのも、要因の一つだと話します。
中島准教授:「だんだん(人に)慣れてきて、人が近づいても逃げないというふうに、最終的にはなってしまう」「(Q.都内23区に出てくる可能性も?)個体数も増えているし、人を恐れなくなっているので。何かの弾みでエサがないとか、山にエサが少ない時に、一回人里近くに下りてきて、味をしめた個体が長期的に定着することは起こり得る」
(「グッド!モーニング」2023年12月14日放送分より)
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