全国で増え続ける空き家への対策を強化するため13日、新たな法律が施行された。この法律で、空き家対策はどう変わるのか。
■行政には大きなメリット、一方で課題も
番組が13日訪れたのは、千葉県市原市にある「空き家」。去年3月、市は建物が倒壊する恐れがある「特定空き家」に認定した。認定されれば、建物が倒壊する前に代執行ができる。
その後、市は所有者に再三にわたり勧告や指導を行ってきたが放置されてきた。
そして、市原市の職員と解体業者が到着し、行政代執行が行われた。
市原市役所 都市部 森正人部長:「空き家等対策の推進に関する特別措置法及び行政代執行法に基づき、代執行により建物の除却に着手します。(業者に)それでは作業を開始してください」
行政代執行によってこの建物は解体され、費用を所有者に請求することとなる。この危険な空き家の近くに住む住民は、次のように話す。
周辺住民:「台風の時に屋根が飛んできたりっていうのがあると、通っている人とか危ないじゃないですか、怖いですよね」
全国に居住目的のない空き家は、2018年時点で349万戸。2030年には470万戸と、今後さらに増加する見込みだという。
こうした空き家の増加を抑制するため13日、改正空き家対策特別措置法が施行された。
これまでの法律では、倒壊する恐れがある「特定空き家」と判断された空き家しか行政代執行の対象とはならなかった。
それが今回の改正法で、放置すれば「特定空き家」になる恐れがある建物を新しく「管理不全空き家」と認定できるようにした。状態が悪化する前に活用や撤去を促すというものだ。
この改正法が施行されたことで、行政には大きなメリットがあるという。
市原市役所 都市部 住宅政策課 山口秀典課長補佐:「特定空き家の前段階のものを(これまでは)条例で定めていた。これが今度、法的根拠をバックにして指導、そして勧告まで至った場合は、固定資産税の住宅用地の特例が除外される」
住宅用地という名目での固定資産税軽減がなくなるため、市の収入が増えることになる。ただ、こうした課題も残っている。
山口課長補佐:「ほぼ倍くらいに空き家の事務というものが増えてくるという感じになってきます。そういう点で人員を確保したり、そういったところがやっぱり大変になってくるかなと思います」
■法改正で…撤去や活用進むと期待
新たな法律の施行で、今後の空き家対策がどのように変わるのか詳しくみていく。
まず土地の「固定資産税」は、住宅が建っている土地の場合、最大で6分の1に減額される。
そのため、住んでいなくても残しておいたほうが税金が安いため、放置されてしまう要因のひとつになっていた。
ただ自治体が倒壊の危険があると判断した「特定空き家」は、固定資産税の軽減措置の対象から外すことができた。
そして今回の法改正では、この「特定空き家」のひとつ手前の状態、放置し続ければ「特定空き家」になる恐れのある空き家を、新たに作った「管理不全空き家」区分に認定して、場合によっては固定資産税の軽減措置の対象から外すことができるようにするというもの。
空き家の状態が著しく悪化する前に活用や撤去を促し、放置される空き家を少なくするのが目的だ。
では、どのような建物が「管理不全空き家」と判断されるのか。
国土交通省が示しているガイドラインでは、「窓ガラスや建物の入り口が壊れている」「屋根や柱が破損・腐食している」「清掃が行われず、ごみが散乱している」「草木が生い茂っている」などが挙げられている。
こうしたガイドラインに基づき、市区町村ごとに基準を設け「管理不全空き家」を認定。指導、勧告していく。
「管理不全空き家」の対象となる空き家は、全国にどれくらいあるのか。2018年度の調査では「特定空き家」とされたのはおよそ4万戸だったが、今回の「管理不全空き家」と同様の基準の空き家は、およそ53万5000戸もあった。
今回の法改正で、固定資産税の減税対象から除外されると撤去や活用が進むと期待されている。
今回の法改正では、空き家を取り壊すだけではなく、住宅しか建てられない地区に、飲食店などの店舗をつくることができるよう規制を緩和するなど、活用を促す内容も盛り込まれている。
また、空き家対策を手掛けるNPO法人などを新たに「管理活用支援法人」に指定することができる。
具体的な役割について、不動産に詳しい渥美陽子弁護士に話を聞いた。
渥美弁護士は「NPO法人が空き家を手放したい人と、活用したい人とをマッチングするような役割などが期待される。自治体しか持っていない情報を提供することで、NPO法人の活動の幅が広がり、空き家の有効活用が円滑に進むようになるのではないか」と話していた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年12月14日放送分より)
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