観光客として日本に来ていたはずの外国人が姿を消すケースが今、急増しています。当局の1カ月の追跡を経て、意外な事実が判明しました。
■「不法滞在外国人」摘発現場に同行
まだ日が登らない午前4時すぎ、関東地方のとある町に停車したマイクロバス。乗っていたのは、東京入管の警備官およそ15人です。
警備官:「おはようございます。本日の案件は、一軒屋に集団居住している案件でして。現状では、まだ室内点灯していませんが、通常であれば、もう少しあとに点灯するのではないかと思います。出があり次第、着手ということでよろしくお願いします」
番組は、不法滞在外国人の摘発への同行を許されました。
「東京出入国在留管理局」通称、東京入管。東京を中心に10都県を管轄し、入国警備官らおよそ2500人が治安を守っています。
空港の入国審査だけでなく、不法入国者を摘発し、国外へ強制退去させることも重要な仕事です。
■住宅に外国人グループ “立てこもり”状態に
この日、警備官が取り囲んだのは2階建ての住宅です。「外国人グループが潜伏している」という情報提供を受け、1カ月以上の期間をかけて慎重に調査してきました。
午前6時過ぎ、出勤前の外国人グループに初めて接触します。
警備官:「2階外階段、配置完了。扉は閉まっています」
外国人らが出入りするのは2階の外階段です。すると20分後、包囲されていることに気が付かず、階段に座りたばこを吸う男の姿がありました。
防刃チョッキを着た警備官たちが動きます。
警備官:「おはようございます。イミグレーション(入管)です。ビザのチェックをしたいんだけど、パスポートはどこかな」
最初に接触したのは、たばこを吸っていた農作業着に身を包む東南アジア系の男。通訳も介して、日本語と英語でパスポートの提示を求めますが、男は落ち着かない様子で、不審な動きを繰り返します。
東南アジア系の男:「ダメ、ダメ、ダメ」
パスポートの提示を拒む男。さらに予期せぬ行動に出ます。
中にいる仲間に、何かを伝えようと叫び始めたのです。
東南アジア系の男:「ドアを閉めろ!ドアを閉めて!」
立てこもりのような状態になりましたが、数分後、観念したのかゆっくりとドアが開きました。
警備官:「開けてくれる?ありがとう」
一斉に部屋に入る警備官。外国人グループは、一体、何者なのでしょうか?
■相場“半額”賃金「農業」 ブローカーは?
彼らは、タイ国籍の20代後半から30代後半の男女4人でした。夫婦とカップルで、観光目的と偽って入国し、長い者では今年1月頃から10カ月以上、不法就労していたことも分かりました。
警備官:「仕事、アルバイト内容を教えてください」
タイ国籍の女:「農業の仕事です」
タイに残してきた子どもの養育費や、結婚後の生活費に充てるため、タイと日本国内にいるブローカーを頼りに来日したといいます。
タイ国籍の男:「給料は1日あたり6500円です」
日給は6500円。この地域で同じような農作業をした場合と比べ半額ほどの賃金です。ブローカーに中抜きされているのでしょうか。
タイ国籍の男:「ブローカーはタイ人だと思います。連絡先は分かりません。給料日になったらお金を持って現れます」
外国人4人のグループは荷物をまとめ、そのまま東京入管に収容。4人はその後、入管法に基づき、強制的にタイへ出国させられました。
■物件所有者「タイ人とは知らなかった」
近隣の住民に話を聞くと、このような声が聞かれました。
近隣住民:「いるのは、分かっているけど、なんとなくね。だけど、光が漏れないようにカーテンを閉めていて、明かりすらあまりわからない状態」
周辺には、農作業に従事する外国人技能実習生なども多くいるため、目立たなかったといいます。
タイ人グループが住んでいた物件の所有者を取材しました。
物件の所有者:「3、4年前から、友人に紹介された日本人男性に貸していた。タイ人が住んでいるとは知らなかった」
■東京入管「月平均でだいたい80人摘発」
東京入管では、コロナ禍が明けてから不法就労を行う外国人が急増しているとして、情報の提供を呼び掛けています。
東京入管 調査第一部門 鳥巣直顕首席入国警備官:「5月以降、だいたい月平均で40カ所の摘発を実施している。月平均でだいたい80人を摘発している」
東京入管 執行第二部門 稲員猛首席入国警備官:「国民の皆さんの心配を払拭するためにも、できる限り早く身柄確保に努めたい」
(「グッド!モーニング」2023年11月15日放送分より)
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