食中毒を引き起こした疑いがあるマフィンを販売した東京都内の店が、商品回収の情報を公開するSNSを突然閉鎖しました。対応の不適切さから、保健所が指導する事態となっています。
■5日間で3000個は「かなり無理がある数字」
マフィンの購入者:「栗とマフィンの生地の周りが濡れていて、ひと口食べただけで、それ以上は吐き気がして…」
先週、イベントで販売されたマフィンの購入者の間で相次いだ体調不良。
マフィンの購入者:「私が食べたのはヌチョヌチョという感触というか、グニャという感触で…」
マフィンを提供した店主は、およそ3000個ものマフィンを最長5日間、クーラーで温度管理した室内で保管していたと釈明しています。
しかし、そもそも、たった1人、5日間で3000個ものマフィンが作れるのでしょうか?
都内のマフィン専門店です。ショーケースには様々なマフィンがずらりと並んでいます。今回の件について、マフィン専門店の方はどのように捉えているのでしょうか。
取材したのは、夫婦2人で営むマフィン専門店。旬の野菜やフルーツを使い、焼けるのは一日100個ほどです。1つずつ型に入れ、火加減を調整しながら丁寧に焼き上げるため、作れるのは夫婦2人でも1時間に24個ほどです。
今回の「5日間で3000個」という数字については、次のように話します。
HanaMuffin代表 片山靖弘さん:「ちょっと、考えられない数字です。1人で作るには、かなり無理がある数字なのかなっていう気が…徹夜してもなかなか難しい…」
3000個ものマフィンの保存についても目黒区保健所の担当者は、番組の取材に対し「商品を保管する冷蔵庫については3000個が入るサイズかといわれると難しいという感じでした」と話しました。
“問題のマフィン”を巡っては、新たな騒動も浮上しています。
■連絡先として使用のSNS…突如、削除
SNS:「返金対応の連絡先としてたSNSを全削除とか」「回収の連絡先にしてたSNSアカウント消したってマジ??」
これまで返金対応のため、連絡先として使われていたSNSが突如、削除されたのです。
厚生労働省は、リコール情報の届け出を義務付けていますが、そこに記載された「回収」に必要な情報の削除に保健所は困惑。“異例の指導”を行ったといいます。
目黒区保健所の担当者:「通常、保健所は回収方法に言及しませんが、突然、連絡先が消えてしまうと購入者が不安になると思い、早急に新たな連絡先の準備をしてほしいという話はしました」
SNSの削除後、店側がインターネット上にあげた案内には「当店は閉業しており、営業再開の予定はございません」という説明が書かれていました。
■回収受付を停止、破棄するよう案内
対応への疑問は、他にもあります。
それは当初、厚労省のホームページを通じて店側が告知した回収方法です。
厚生労働省のリコール情報:「ゆうパックにて、以下の住所までご郵送ください」
しかし、購入者からは、次のような声が上っています。
マフィンの購入者:「私のは少し生焼けだったのかなと。とにかくすごい臭いで、何の臭いか分からないぐらいの臭いが部屋中に充満しました」
この点について、日本郵政は、次のように話します。
日本郵政の担当者:「ゆうパックでは、病原体および病原菌がついている可能性があると指定されたものに関しては受け付けできません」
現在、店側はマフィンの回収受け付けを停止、破棄するよう案内していますが、厚労省のホームページによると、回収はこれまでに851個だということです。
■危機管理の専門家「情報発信の仕方、少し良くなかった」
店を訪れてみましたが、明かりは消え誰かがいるという気配はありません。そしてお店の入り口には不在表が挟まっています。返品されたマフィンが届いているのでしょうか。
電話をかけてみても、「メッセージの録音件数が一杯のためメッセージが受け付けられません」というアナウンスが…。
店は閉業、SNSは削除、留守番電話のメッセージも残せない状況になっていました。
企業の危機管理に詳しい専門家は、次のように話します。
企業危機管理に詳しい 浅見隆行弁護士:「(店のSNSを)予告なく削除してしまうと、やはり不安に思っているとか被害を受けている人からすると連絡先がなくなると不安になるので。そこは予告というのが一つ必要だったかなと思います。情報発信の仕方、いわゆる危機管理広報の仕方としては、個人で行っていることもあり、少し良くなかったという気がします」
(「グッド!モーニング」2023年11月23日放送分より)
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