イスラエルとイスラム組織「ハマス」の人質解放交渉をめぐり、仲介したカタール政府は、人質解放と引き換えに、少なくとも4日間の戦闘休止で両者が合意したと発表しました。日本テレビ国際部の古谷朋大デスクの解説です。
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イスラエル軍とハマスの衝突が始まってから約1か月半。ようやく本格的な人質解放が実現しそうですが、かなり時間がかかった印象があります。
――どのような交渉が行われた?
イスラエルとハマスは直接のパイプがないため、交渉はアメリカ、カタール、エジプトが仲介役となって交渉が進められていました。アメリカ政府高官によると、衝突が始まった直後から、アメリカとカタールの協議が始まったとしていますが、間接的な協議ということで時間がかかりました。
また、ハマス側が人質解放と引き換えに求めていたのは「戦闘の一時休止」「燃料などの物資の搬入」「イスラエルにとらわれているパレスチナ人囚人の解放」でしたが、イスラエルは搬入した燃料がハマスに流れることを強く警戒していました。
また、ネタニヤフ内閣の中には、人質の解放に際して戦闘を休止すれば、ハマスが体制を立て直す機会に利用されるのではないかなどと異論があり、交渉に時間がかかっていました。
――このタイミングで合意に至ったのはなぜ?
アメリカ政府高官によると、大きく動き出したのは今月中旬でした。ネタニヤフ首相は今が交渉をまとめる時期だと判断し、大筋で交渉案に同意したといいます。イスラエル国内では人質解放の交渉を優先すべきという世論が日に日に高まっていたので、この段階でネタニヤフ首相は決断を迫られたとみられます。その後、詰めの協議が続けられ、22日の合意発表に至ったというわけです。
――200人以上いるといわれている人質。残りの人質が解放される見通しは?
ハマスにとっては、今回のように人質は大事な交渉材料になります。またイスラエル軍は可能な限り、人質が戦闘に巻き込まれないように軍事作戦を展開しないといけないので、ハマスにとっては戦いを有利に進めるものです。そのため、ハマスが短期間のうちに全員を解放するということは考えにくいです。残りの人質解放についても、時間をかけた厳しい交渉が続くことになるとみられます。
――4日間の戦闘休止で、人道状況はどの程度改善されるのか?
イスラエル政府も交渉内容に合意したことを発表していて、10人の人質が解放されるごとに、戦闘休止が1日延長されるとしていますが、今回、4日間の戦闘休止ということで、どの程度の規模でガザ地区に物資の搬入が行われるかによりますが、ある程度の状況改善は見込めると思います。
しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスの殲滅を目指す」「戦争を続行する」と明言しているので、あくまで戦闘休止は一時的なものです。今起きているイスラエルとハマスの衝突の基本的な状況に変化はありません。そのため、戦闘が再開されれば、再びガザ地区への物資の供給は途絶え、深刻な生活状況が続くと予想されます。
(2023年11月22日放送「news every.」より)
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