台湾の新しいリーダーを決める総統選挙は13日、投開票を迎えます。争点は、台湾統一を掲げる中国との関係です。中国の軍事侵攻に備える防衛最前線の島を取材しました。
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今週、私たちが向かったのは、台湾西部にある澎湖諸島です。美しい海に囲まれ、漁業が盛んです。観光地として人気を集めていますが、実はこの島、中国が台湾に侵攻すると真っ先に“戦場”となる場所の一つです。
記者
「海の向こう側に見えるのが海軍の基地です。いま軍艦がゆっくりと動いている様子が見えます」
中国と台湾の間に位置し、中国との距離は140キロメートルほどしかありません。そのため台湾の陸・海・空軍がそれぞれ基地を構えていて、中国の攻撃をすぐに察知できるよう、警戒レーダーも配備しています。
記者(台湾・澎湖島、2022年10月)
「中国軍の攻撃を想定した、台湾軍の演習が行われています」
中国が軍事侵攻に踏み切った場合に備え、実弾を用いた演習が行われ、有事の際に多数のけが人が出ることを想定し、訓練を定期的に行っています。
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取材中に突然…
記者
「いま防空警報が鳴りました、中国軍が衛星を発射したと」
中国が、台湾上空を通過するロケットを発射。
「この警報ははじめてです」
ロイター通信によると、台湾側は「選挙を意識した中国の挑発」だと反発しました。こうした事態に備え、市内の建物は、階段を降りると、地下駐車場が“防空壕”になっていました。
意外なところにも軍の影響が出ています。
店員
「ご注文の冬瓜(とうがん)レモン、できました」
島内のカフェ。ドリンクのラベルには「ご苦労さまです。軍は市民を愛し、市民は軍を尊敬します」と、台湾軍をねぎらうメッセージが記載されています。
カフェ店主
「いざという時、兵士は命を失うかもしれません。私たちは後ろ盾として支えなければなりません」
行政トップも中国への危機感を強めています。
陳光復 澎湖県長
「澎湖有事はすなわち、台湾有事。日本にも有事だと言えます。澎湖が攻められたら、台湾も攻められ、世界経済が崩壊してしまう」
市民からは…
澎湖の住民
「この辺は中国に最も近いんだ。さらにこの村にはミサイル基地があるので、なおさら怖いよ」
澎湖の住民
「本当に統一になったら、ここは最初に占領されるところだと思う」
一方で…
澎湖の住民
「選挙するたびに中国の話を聞いて怖がって。真っ赤なウソだよ! 経済が良ければ怖いものはない」
澎湖の住民
「以前は心配していたけれど、今は頻繁すぎて慣れちゃった。宿題で精いっぱいなんだもん」
中国への警戒と、全面戦争だけは避けたいという思いのはざまで民意は揺れています。
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台湾総統選挙は13日に迫り、候補者は最後の訴えを行っています。
民進党 頼清徳氏(台湾・台北市、11日)
「両岸関係の安定を続ける」
中国と距離を置く与党・民進党の頼清徳候補。中国との関係改善を訴える国民党の侯友宜候補。「台湾は米中の架け橋となるべき」とする民衆党の柯文哲候補。3人の候補者の歴史的な接戦となっています。
中国の習近平国家主席は、「祖国の統一は歴史的必然」だとして「台湾統一」へ強い意欲を示している中、有権者はどの候補者を選ぶのでしょうか。
(2024年1月12日放送「news every.」より)
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