今回の能登半島地震による死者は126人、安否不明者は209人にのぼっています。(6日時点)
■車中泊続ける家族が語る避難生活
サタデーステーションが向かったのは、最も多くの人的被害が出ている石川県輪島市です。
そこで出会ったのは、避難所の外で車中泊する徳野さん家族。市役所勤めで災害対応のため忙しい両親に代わって祖父母の2人で、孫の環ちゃん(3)と避難生活をしています。集団生活の避難所では、“子どもが迷惑をかけるのでは”と、発生からずっと車中泊を余儀なくされています。祖母の君子さんと環ちゃんは後部座席で、祖父の喜一郎さんは運転席を倒して寝ているそうです。
車中泊を続ける 徳野君子さん
「やっぱり手足のびのびできないから、足とか気になるから明るくなったら歩こうねとか少し外出したり」
必要な物資はその通度、避難所へ取りに行きます。いま一番心配しているのは…
車中泊を続ける 徳野君子さん(68)
「毎日ガソリンばっかり気にしています。一晩分ガソリン無くなってきたなと思ったら、ちょっと暖房止めようかって夜中少し止めて、また寒くなってきたねって付けたり、そんな感じで。雪とかきたら困るなって思って」
車中泊を続ける 徳野喜一郎さん(74)
「生きているだけでまずラッキーって感じで。洗濯もできない、電気もない、それでガソリンもない。だから、入浴希望っていうか風呂に入りたいなっていうのは贅沢の極みみたいなもんで。せめて着替えだけでもね、下着だけでも着替えたいなって。それが精一杯の要望っていうか、希望っていうかね」
■取材班は孤立地域へ
輪島市ではいまだ数多くの“孤立地域”が残っています。きょう、自衛隊と避難住民が協力して、孤立地域へ手作業で物資を運ぶ場所がありました。孤立地域のひとつ輪島市の鵠巣地区。きょう、私たちのカメラが初めて入りました。
大きな亀裂が入った道路に、傾いた家屋、数十メートルあるかというブロック塀も倒れています。
歩き続け、たどり着いた避難所。自衛隊により、物資はきのうから届き始めましたが、電気、ガス、水などのライフラインは全くないといいます。
避難所責任者 村田直之さん(輪島市職員)
「トイレはこんな風に水をくんで。近くの川の水をくんでもらって入れてもらってます。本当に住民の輪というか、皆さんのお力添えで助かっています」
孤立集落が残っている大きな理由は「道路の寸断」です。至る所でみられる亀裂や、陥没。道路が片側しか通行できない場所も多く、被災地の道路は各地で渋滞も発生しています。
そのため、ようやく拠点までは届いた物資が、その先の避難所や各家庭まではなかなか届いていないのです。運び手の人員不足などもあり、いかにピンポイントで届けるかが課題となっています。
■街襲った津波の恐怖 映像から検証「2つの特徴」
そして、未だに全容が見えないのが津波の被害です。
珠洲市では津波で少なくとも1人が行方不明に。県が発表した不明者には海に近い地区の住民も多く含まれています。その時、一体何が起きていたのか。今回、取材班は「津波」の瞬間をとらえた映像を複数入手。2つの特徴がわかりました。
まずわかったのがその「到達の速さ」。
珠洲市の海岸からおよそ70m離れた家から撮影された津波の映像。ガレキを巻き込みながら勢いよく流れていく津波。1階の半分以上が浸かった家に半分ほど水没した車もあります。実はこの映像の撮影時刻は1日午後4時15分ごろ。地震発生が4時10分ごろなので、地震発生後およそ5分でこの津波が来ていたのです。
そして、もう1つの特徴が「地形の影響で打ち返しの津波の威力が拡大したこと」。
珠洲市のこの場所では、地震発生30分後に大きな津波が襲いました。高いところで人の腰付近まで津波が来ています。そして、この2分後、より内陸から撮影した写真には津波が内陸にどんどん押し寄せてくる様子が捉えられていました。
専門家は能登半島周辺は海底の地形の影響で、同じ波が折り返して再び陸に押し寄せます。その際に、他の波と合わさり、最初の波より大きくなるのだといいいます。
東北大学災害科学国際研究所 今村文彦教授
「日本海側では最大波は1波2波ではなく後の方で発生する性質があります。いつ最大波が来るかわからない。避難を継続することは非常に大切になります」
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