赤ちゃんの泣き声のようにも聞こえるクマの鳴き声。この鳴き声を聞いたら危険が迫っているかもしれません。
■保育園のカメラに「初めて…」
7日午前7時すぎ、秋田県の住宅から撮影された映像です。雨が降るなか、庭を悠々と歩くクマ。朝ごはんを食べている最中に侵入してきたといいます。福島県では、保育所の敷地内にクマが出没。ブランコや滑り台の横を通り過ぎていきました。
川口保育所 五ノ井智徳所長:「目撃情報が近い所ではありましたけど、こんなに保育所の近くで映像に映っていたのは初めて」
今年は市街地でクマに遭遇する事態が急増しています。それに伴い、クマの鳴き声が街に響き渡ることも。ほとんど聞くことがなく謎に包まれているクマの鳴き声。今年に撮影されたクマの声を専門家に検証してもらうと、危険の兆候となる鳴き声があることが分かりました。
■母グマ呼ぶサイン 聞こえたら注意
そもそも、クマはほとんど鳴かず不明な部分も多いという鳴き声。動物園で日々クマと向き合う飼育担当者がよく聞くのは「コッコッコッ」といった声です。
ノースサファリサッポロ 梅沢悠介統括部長:「(成獣の)『コッコッコッ』みたいな空気を含んでいるような鳴き声はコミュニケーションを取る時」
ただ、今、私たちが注意すべきなのが子グマの鳴き声です。
ノースサファリサッポロ 梅沢悠介統括部長:「子どもは叫び声というか『ギャー』みたいな感じ。トーンはもっと高いが親を呼ぶ感じで鳴く」
■身近な動物に間違う?迫る危険
牛が鳴いているようにも聞こえますが、子グマの鳴き声です。
ノースサファリサッポロ 梅沢悠介統括部長:「(近くに)母グマがいる。非常に危険な状態」
市街地で子グマの鳴き声が聞こえた場合、近くに母グマがいるため特に注意が必要だといいます。番組では、これまで撮影された動画のなかからクマの鳴き声を集め、さらなる分析を試みました。
■遭遇避ける術“この声”に要注意
イノシシ用のわなに捕まってしまった2頭の大人のクマ。まるで赤ちゃんのような高い声で鳴いています。意外にも高い声を出すクマ。これは一体、どのような音なのか。私たちは音のプロのもとに伺いました。
日本音響研究所・鈴木創所長は音声分析などを行う音の専門家です。早速、クマの鳴き声を聞いてもらいました。
日本音響研究所 鈴木創所長:「これは聞いた感じ、クマとすぐ認識できる人はあまりいないのでは」
クマとはすぐに分からず、むしろ別の動物に聞こえると指摘します。
日本音響研究所 鈴木創所長:「例えば犬同士のけんかであるとか」
さらに、身近な動物に聞こえる鳴き声は他にも。定点観測しているなかで撮影された山の中で鳴くクマです。
日本音響研究所 鈴木創所長:「『クォー』って言って、その後に喉を鳴らすような音になっている。いわゆるネコのような声」
実際に波形を見比べると、クマとネコとでは同じような形になっていることが分かります。
日本音響研究所 鈴木創所長:「クマも下から3本目までが強く出ているので(クマとネコは)非常に音色的に似ている」
音声分析から見えてきたことは、クマの鳴き声が日常に潜んでいても気付きにくいという点です。
日本音響研究所 鈴木創所長:「市街地、人間が住む所で身近な動物の鳴き声に近い。まずこういう声が聞こえたらクマがいるとしっかりと認識することから始めてほしい」
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