自民党・安倍派の政治資金パーティーの問題を巡り、複数の関係者が高木事務総長ら幹部から、口止めの指示などがあったと話していることがわかりました。今後の捜査の焦点についてみていきます。
■“組織的だったか”どうかが捜査の焦点
加藤シルビアキャスター:
これまでの安倍派の議員の証言について。
宮沢博行 前防衛副大臣は、「3年間で140万円、(キックバック不記載を)長年やってきているのなら、適法なのかな」と、13日の国会で話しています。
また14日、堀井学 前内閣府副大臣は、「1000万円以上のキックバックを受け取っていた。事務所の経費として使われた」とJNNの取材に対して話しています。
議員だけでなく、ほかの関係者へ取材すると、特捜部の聴取を受けた安倍派の議員秘書らは、キックバックについて、「政策活動費にあたるため、政治資金収支報告書に記載する必要がないと、派閥側から説明を受けた」というふうに話していることがわかりました。
政策活動費というのは本来、政党から政治家個人に寄付されるもので、こうした派閥側の説明があったのだとすれば、裏金を隠す口実だった可能性が指摘されます。
日比麻音子キャスター:
指示などがあったとするならば、組織性も疑われます。
元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士:
極めて重要な話になってくる。つまり、特捜部とすると、派閥が、どれだけ組織的に、あるいは長期にわたって、こうしたことをやっていたのかは、捜査の重点目標だと思う。派閥が口封じをしたり、かん口令を引いたり、あるいは、「こう言えば違法にならないよ」「違法を逃れられる」とかいうようなことを教示してたということになると、派閥が悪質なことをやってきたということが、如実に出てくるということ。特捜部とすると、その辺は注目をしているところだと思います。
産婦人科医 宋美玄さん:
もし組織的だった場合、罪は重くなる?
元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士:
重くなる方向に行くと思う。収支報告書への不記載の総額が、ひとつの処分の目安になる。仮に、1億円の不記載で、禁固刑、起訴されるとする。そのとき、1億円に満たない、8000万~9000万だったとしても、組織的あるいは長期にわたって行っていたということになると、罰金では済まされず、禁固刑になる。情状として重い方向に行くということはあり得る。
■自民党は “個人への政策活動費は記載しなくてよい”という考え
井上貴博キャスター:
どの議員も、これは個人の責任ではなくて、派閥のせいなんだ、政策活動費だから、寄付なんだと。そして、常套句である、会計責任者のせいであると。逃げ道がたくさんある。国会議員ってよく、領収書の必要ないお金が必要だ、それがないと政治活動が立ち行かない、とおっしゃるんですけれど、これは本当に必要なものなのか。民間と同じようなルールで、1円でも領収書を出すべきだと思うのですが。
元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士:
領収書の必要ないお金のやり取りが必要だ、ということは決してないと思います。ただ、いまの政治の実態として、領収書のないお金が、水面下で動いている。他の人がそういうことをやっているから、それに倣う。だんだん麻痺していく。その実態を、そもそもを断ち切る、直していかないと、いつまでたっても水面下で、どんどん奥深くで行われていくという流れは止まらないと思う。
井上キャスター:
本気で法律を作ろうと思えば、抜け道はなくせる?
元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士:
本格的に政治資金規正法を、がっちりと整えていけば、逃げ道を封じることができる。特に、政策活動費は、自民党では、個人に渡すものであれば、収支報告書に載せる必要がないという考え方を持っている。しかし、個人だから収支報告書に載せる必要がないと言い切ってしまうと、すべてが個人受け取りであるということにして、収支報告書に載せる必要が全くないという話になりかねない。そういう見方や主張を許してはいけない。
特捜部は少なくとも、個人に渡されるものだとしても、収支報告書に載せなくてもいいということは決してない、という立場を取っている。私も当時は、そういうスタンスのもとで仕事に臨んでいました。
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