イスラエル軍は15日、ガザ地区最大のシファ病院にハマスの“地下拠点”があるとして、攻撃を実行していると明らかにしました。
CNNのジェレミー・ダイヤモンド記者:「病院の敷地に戦車が突入しています。医師らは、襲撃の30分前に作戦の通告を受けたとのことです」
BBCによりますと、イスラエル兵は、発煙弾を病院内に撃ち込んだそうです。シファ病院には、患者700人、医療スタッフ400人以上、そして避難者約3000人がいるとされています。
撮影者:「専門病棟が、直接、攻撃され、患者たちの避難をさせています。集中治療室からこちらに移されていたのですが…ほこりや煙が充満していて、患者は息苦しい状態です」
病院関係者:「これがイスラエルの、この病院への爆撃の結果です。標的となったこの場所をご覧ください。患者がいる場所、医師のいる場所です。しかし、この集中治療室の温度調整をしなければならない。エアコン機器が崩壊してしまっています」
シファ病院外科医:「敷地内に戦車が走っている。銃声はひっきりなしに聞こえる。それしかわからず、本当に怖いです。(Q.いまの音は)戦車が絶え間なく撃ってきています」
ただ、敷地内でハマスの戦闘員と銃撃戦になっているわけではないようです。
シファ病院外科医:「彼らが、銃口を向け、介入することは恐れていません。病院にハマス本部があるなんて真っ赤な嘘だからです」
情報をまとめると、イスラエル軍は正面玄関から6両の戦車と、100人以上の兵士で侵入しました。産科と外科の病棟、救急などが入る建物で軍事活動中で、一部屋、一部屋調べて回っているとのことです。
イスラエル軍が公開した映像。医療物資を次々と運び込んでいますが、兵士以外は映っていないため、中の様子はよくわかりません。ただ、現在、イスラエル兵は医療スタッフに尋問を行っているという情報があります。
BBC:「イスラエル兵は、空に向かって発砲しながら、16歳から40歳の男性に対して中庭に集まるよう命令している」
アルジャジーラ:「約30人が中庭で目隠しをされて服を脱がされている。3台の戦車に囲まれている。イスラエル特殊部隊が地下を調べている」
いまのところ、イスラエル側から人質やハマスの司令部が見つかったという情報は出てきていません。
シファ病院への作戦が始まる数時間前、アメリカの国防総省副報道官は、こう話しました。
アメリカ国防総省・シン副報道官:「(Q.ガザの病院が合法的な軍事標的という決定的証拠は)情報では、ハマスらがガザの病院を軍事作戦や人質監禁の秘密拠点にしています。シファ病院もその一つです。アメリカの情報機関の分析です。(Q.ではガザに何らかの情報機関が)アメリカの兵士も諜報員もいません」
ハマスは声明で一連の動きを、このように話しました。
ハマス報道官:「シファ病院は、軍事施設ではなく、市民の医療施設です。ホワイトハウスと国防総省がシオニストの嘘にのっかっている。我々は、バイデン政権を完全にシオニストと同列に扱うことになった」
※国際世論からの批判も高まるなか、病院への攻撃に踏み切りました。イスラエルの狙いはどこにあるのでしょうか。中東情勢に詳しい慶応義塾大学の錦田愛子教授に聞きました。
錦田教授は「衝突から1カ月経ってもほとんど人質が解放できておらず、国内の批判が高まるなか、何か成果を出したくて焦っている。1カ所でも病院内にハマスの関連施設があれば、過去を含めた攻撃の正当化ができるため、証拠探しを続けている。発見されれば、すぐ発表するはずなので、そもそも“地下拠点”があるのか疑問だ」
シファ病院にハマスの“地下拠点”がなかったとしたら、今後の展開はどうなるのでしょうか。
錦田教授は「“地下拠点”の根拠が見つかっても見つからなくても戦闘は終わらない。イスラエルの最終目標は『人質解放』『ハマスの幹部を倒す』ことなので、達成するまで戦闘は終わらないのでは」としています。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
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